産業保健コラム

田中 朋子 相談員

ストレスチェックの活用(自分のパターンに気づこう!)

2016年09月


平成27年12月からストレスチェック制度がスタートしました。
実際にご自分のストレスプロフィールを見ていかがでしたでしょうか?
この制度は「ストレスへの気づき」を高めることに重点を置いています。その観点からみると、単に「高ストレス」ではないから良かった、で済ますのではなく、もう少し丁寧に自己分析をしたいものです。

私たちは幼いころに「こうやって生きていこう」という幼児決断をしていると「交流分析」では考えています。幼いころの未熟な考えでの決断を大人になった今、現在も「それしかない」と思って使っている。特に自分の人生の大事な岐路でワンパターンの行動をとってしまう傾向があります。

「日々、新なり」という言葉がありますが、本当に一瞬一瞬変化していて、毎日同じ道を通勤しても自分のこころや体も、出会う人のこころも、そして気象条件などの環境にしてもすべて変わっていて、全く同じではないのです。

何かが起こるとこんな時はこんな反応をする、と決まったパターンを持っていて、自動的にそのモードに入ることがあります。非常に単純化した例ですが、

「仕事でミスをした → 上司に叱られた → 自分だけが悪いわけではないの
に、そんなこと言われるなら辞めてやる! → 退職する」

何か問題が起こると自分が辞める、身を引く、その解決法しか知らない人もいます。そんな自分独自のパターンを知る手掛かりになります。

幼いころから繰り返している、この自分独自の解決法は、自分にとってはごくごく当たり前でほかの方法は思いつかないものです。ストレスチェックにより、そんな「こころのくせ」に気づいていただくと自己理解が深まり、より生きやすくなることでしょう。

ストレスの影響は、こころだけでなく、体にも表れます。心身症といわれるものだけでなく、心臓や脳への影響、また、がんなど悪性腫瘍を発症する可能性も高まります。ストレス対処法を複数身につける、ストレス耐性を強化していく、また緩衝要因として話を聴いてくれる人、相談できる人を作っておくなど、自分でできる対策を実践しましょう。こころの変化に鈍感になってしまうと、重症になってから後悔することにもなりかねません。ぜひ、

「なんか変だな、いつもと違うな」

という小さな変化を見逃さず対策をとって、自分らしい人生を送っていただきたいと考えます。

9月は残暑も厳しく、朝晩の気温差などで体調を崩しやすい季節です。健康診断結果やストレスチェック結果を過信せずに、自分のこころや体に耳を傾け健やかにお過ごしください。

産業保健相談員 田中 朋子(保健師・メンタルへルス対策促進員)

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