産業保健コラム

石戸谷 武 相談員

    • 産業医学
    • 前 聖カタリナ大学教授
      ■専門内容:心臓外科・循環器科・産業医学
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ペットや家畜からの病気

2017年10月


私たちの周りにはイヌやネコやトリ、ブタをはじめ色々な種類のペット、動物がおります。そして人間(ヒト)はペットとしている動物を飼うことで日々の生活に潤いを見出し、また癒しを覚えます。

個人の家庭でもそうですが、老人ホームや老健施設で、高齢者や障害を持つ人にとって、このような動物に接することが「アニマル・セラピー」とか「コンパニオン・アニマル」と言う言葉がある位、不自由なストレスの多い毎日の生活で心の安らぎや豊かさを覚えさせられて、ペットや家畜はなくてはならない存在でもあります。

一方、わが国では野生のイヌ・ネコその他の動物、渡り鳥(ガン・カモなど)も多く見られ、これに加えて感染して帰国する海外旅行者の増加、また寄生虫が土着している外国からの食物輸入、ペットブームや外国産ペット・動物の輸入が多くなっております。更に輸入品を運ぶコンテナから他国の小動物も入り込むといった状況にあります。

つまり何が問題かというと、ヒトとイヌ・ネコ・トリ等との≪人畜共通感染症≫が問題になるのでありまして、以前から分かっているものも、またタイ・ベトナムでの新興の鳥インフルエンザや以前大問題になった中国の新型肺炎「サーズ(SARS)」も、メキシコ発のブタから出た新型インフルエンザもこれに含まれます。

ここでは主なものを紹介しますが、身体の不調を覚えるときには、ペット病や寄生虫病や新興の鳥インフルエンザなどにも思いを巡らして自身の検査とペットの検査も合わせて行いましょう。

I.イヌからうつるペット病としては:

(1)「イヌ回虫症」は、イヌの糞便で汚染された≪公園の砂場で遊ぶ子供≫が感染する機会が増えました。

(2)「イヌ糸状虫症」はイヌの心臓に寄生します。蚊(カ)がイヌを吸血して、ヒトに移します。高齢者の肺に多く見られます。

II.ネコからうつるペット病には:

(1)「Q熱」はネコの排泄物や分泌物の粉末が吸入されておこります。発熱が主症状です。肺炎やインフルエンザの様な発熱・呼吸器系の症状が出てきます。

(2)「パスツレラ症」は噛まれて30分~数時間で痛みが出て、そこが赤く腫れます(皮膚症状)。またカゼ症状から肺炎症状(呼吸器症状)と一緒に出てきます。犬や猫の口腔内常在菌です。「口移しの餌を与える」のは止めましょう。

(3)「ネコひっかき病」は数日~2週間で赤紫色に腫れ、熱・食欲不振や肝機能障害も出ます。病名が示すように引っ掻かれたり・咬まれたりした時に現れ、ネコノミの寄生した子猫に多いようです。

III.トリからうつるペット病として:

(1)「オーム病」は鳥類のクラミジア感染がヒトへ吸入感染します。肺のほか多くの臓器の障害が見られます。

(2)「高病原性鳥インフルエンザ」については、今地球上の季節性インフルエンザはヒト型のもので、これまでトリ型はヒトに感染しにくいとされてきましたが2003年タイ・ベトナムに発生しました。これは鳥の飼育に濃厚に接した人に出ております。2016年までに16例でております。日本ではまだこの新型ウイルスがヒトの呼吸器への付着性を獲得していないので流行しておりません。しかし要注意です。

 ペットや家畜はヒトにとって大切な共生動物です。これ等の健康状態をよく観察・検査し、獣医師のアドバイスを受け、ヒトが感染を受けないように注意しましょう。また特に海外旅行先では流行中の感染症情報に注意し、食べ物や風土病には気をつけましょう。

産業保健相談員 石戸谷 武(産業医学)

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