産業保健コラム

臼井 繁幸 相談員

    • 労働衛生工学
    • 第一種作業環境測定士 労働衛生コンサルタント
      ■専門内容:労働衛生工学
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改正・リスクアセスメント指針-25 拡散防止措置 局所排気装置-(4) IV ファン(排風機)

2017年11月

 ファンは、汚染空気を吸い込むための気流(吸引気流)を得るためのものです。
 ファンは、大きく分けると「軸流式」と「遠心式」とがありますが、局所排気装置には一般に遠心式が使われます。

1. 設置位置→空気清浄装置の後
 ファンの設置位置は、汚染空気による羽根車の損傷、腐食、爆発等の危険を避けるために、空気清浄装置の後(清浄な空気の通る位置)に設けます。
 有機則・第15条では、「局所排気装置の排風機(ファン)については、当該局所排気装置に空気清浄装置が設けられているときは、清浄後の空気が通る位置に設けなければならない」と定められています。

2. ファンの能力→「制御風速」が出せるもの
 ファンの能力は、圧力損失と必要排風量の両方を考慮して選定します。
 装置内の空気抵抗による圧力損失にうち勝つ静圧が出せるもので、かつ制御風速を得るのに必要な排風量を出せるものが必要です。

 「制御風速」とは、有害物質を「捕捉点」で捉えて、完全にフードに吸い込むために必要な気流の速度を言います。従って捕捉点で制御風速以上の風速があれば、有害物質はフードに全部吸い込まれて、作業者は有害物質を吸うこと(ばく露)がなくなります。

 捕捉点は、 囲いフード   → フードの開口面
         外付け式フード → フードの開口面から最も離れた作業位置

 法令では、フードの型式に応じた「制御風速」が定められ、この風速以上で稼働することが必要です。従って、ファンの能力は、制御風速以上の風速が出せるものが必要となります。

有機則・第16条 フードの型式に応じ、下記の制御風速を出し得る能力を有するものでなければならない。

第18条 労働者が有機溶剤業務に従事する間、制御風速以上の風速で稼働させなければならない。

フードの型式 制御風速(m/秒)
囲い式フード 0.4
外付け式フード 側方吸引型 0.5
下方吸引型 0.5
上方吸引型 1.0

備考
1 制御風速は、局所排気装置のすべてのフードを開放した場合の制御風速をいう。
2 制御風速は、フードの型式に応じて、次に掲げる風速をいう。
イ 囲いフード → フードの開口面における最小風速
ロ 外付け式フード → 当該フードにより有機溶剤の蒸気を吸引しようとする範囲内における当該フードの開口面から最も離れた作業位置の風速

特化則・第8条第1項の厚労大臣が定める要件
 特化則で抑制濃度(後述)の定められていない物質については、制御風速が下記の通り定められています。(昭和50年告示第75号)

物の状態 制御風速(m/秒)
ガス状 0.5
粒子状 1.0

 粉じん則・第11条第5号の厚労大臣が定める要件(特定粉じん発生源に設ける局所排気装置、→発生源の違いで一部下記と異なります)

フードの型式 制御風速(m/秒)
囲い式フード 0.7
外付け式フード 側方吸引型 1.0
下方吸引型 1.0
上方吸引型 1.2

 研削盤、ドラムサンダー等の回転体を有する機械に係る粉じん発生源について設けるもの

フードの設置方法 制御風速(m/秒)
回転体を有する機械全体を囲う方法 0.5
粉じんの飛散方向をフードの開口面で覆う方法 5.0
回転体のみを囲う方法 5.0

備考
制御風速は、回転体停止状態におけるフードの開口面での最小風速

 次回は、制御風速を得るのに必要な排風量(ファンの能力)等を説明します。

臼井繁幸 産業保健相談員(労働衛生コンサルタント)

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