産業保健コラム

武田 良平 相談員

    • メンタルヘルス
    • しののめクリニック 院長
      ■専門内容:心療内科・精神保健
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いつまで働くのでしょうか

2018年02月


 政府が地方公務員の定年を65歳までに引き上げる事を検討中である。
 2033年度までに3年毎に1年ずつ延長するとの事。民間ではすでに実質、65歳まで働いている。
 政府が重い腰を上げたという事は、70歳までは時間の問題だと思う。老後を生きる為には働かなくてはいけない事はわかるが、私みたいな60前の人間は60歳を目指して30年以上働いて、もうすぐゴールかと思っていたら「まだ、先があるのか」と感じてしまう。
 若い人からは「仕事もあって年金も貰えて何を贅沢な事を言っているのか」と怒られると思うし、年配の人からは「戦争やその後の混乱を知らない良い時代に生まれて恵まれているぞ」とこれも怒られそうである。
 今の時代の子供は小学生の頃から、いくつもの習い事をして、中学に入るとすぐに受験モードが始まり、油断が出来ない。高校も同じように過ごし、大学に入学してからも早々と就活に向けての活動を考えなくてはならない。自由な時間を楽しんだり、自分自身を見つめ直す時間があまりない。
 20歳過ぎに卒業したとして70歳まで約50年働く事になる。まともに働くのは、とても大変でかわいそうに思えてくる。私達の時代は少々不景気でも希望があり、社会に勢いがあった。バブルで浮かれて、その後の不況や年金の問題はあるが、やはり良い時代があった事が、ここまで比較的健全に生きてこれた支えになっていたと思う。このような支えがないとこれからの若い世代が何十年も仕事を続けて行けるのかと自分に置き換えて考えても心配です。
 人が長生きした事で生じた問題ならば今後は寿命が短くなるかもしれない。
 長く仕事を続けて行くには仕事の取り組み方が変わるかもしれない。仕事は真面目にやってはダメ、もたないので。面倒な事はしない、AIに任せる。10年働いたら1年休むのを4回繰り返す、非現実的ですが。
 たとえばマラソンの先頭集団から下位集団までが長い帯になるように距離が長いとさらに人の帯は長くなる。愛媛マラソンは人気ですが、かりに60キロの距離になったら完走するのも大変で途中で歩くしかない。無理をして倒れる人も増え、そもそも参加したい意欲も薄れる。先頭を走る人達との差は、そのまま格差社会になっていくのではないか。苦しい時に導いてくれる人を求めるようになるとこれもまた、危険な感じがする。
 金毘羅山(こんぴらさん)のように頂上に行くまでに数々の神社があって、立ち寄ると御利益もあり指標にもなる、途中の達成感を感じる事も出来るし、休憩も取れるような働き方が良いなぁと思っています。

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