産業保健コラム

スタッフ

★治療と仕事の両立支援への取組

2018年03月


 愛媛産業保健総合支援センターの運営協議会の委員から、「治療と仕事の両立支援において、事業場の取組が遅れている。」との意見を頂きました。

 伊予銀行が、病気を治療しながら短時間勤務できる仕組みや、始業や就業時間を早めたり遅らせたりするフレックスタイム制度、就業と翌日の始業の間に原則11時間を空けるインターバル制度などを平成30年2月から順次導入すると発表されました。
 がんや急性心筋梗塞、脳卒中などに罹患した従業員が希望すれば1日6~7時間の時短勤務で職場復帰できる。介護のために休業できる期間は法定の3か月から最長1年3か月程度に延長し、フレックスタイム、勤務間インターバルの両制度は平成30年4月以降に導入予定とされています。

 この様な先進的な取組をされる企業がある一方で、従業員から突然、「がんに罹患したが仕事は続けたい。」と言われ、あわてて、センターに担当者が相談するケースもあります。委員が言われるように、まだまだ、事業場が他人事と思い、自分は大丈夫、うちの会社は大丈夫と思われているからだと思います。

 労働安全衛生規則は、同種災害の防止です。
 よく度数率の話がありますが、平成28年の製造業の度数率は1.15です。
 度数率は、100万延べ実労働時間当たりの労働災害による死傷者数です。
 1日8時間で月20日で160時間、12ヶ月で1,920時間、定年を65歳として勤続43年で82,560時間です。100万時間となると10人まとまっても825,600時間です。定年まで働いて製造業で被災する人は10人に1人となります。
 がんは、2人に1人が生涯のうちに一度はがんになると言われ、2012年にがんと診断された全ての患者のうち、約3人に1人が20~64歳の働く世代となっていますので、事業場では「労働災害」と同じように「治療と仕事の両立支援」を取り組む必要があります。

 当センターにおいては、治療と仕事の両立支援の周知・啓発を推進してまいります。

 同種災害の防止と同じように、事案が発生してからの取組でなく、事案が発生する前から組織として対応することが重要です。

 安全衛生委員会において、治療と仕事の両立支援を調査審議しましょう。

 がんなどの病気になっても安心して働き続けられる職場環境を整備することが重要です。

 当センターの両立支援促進員を活用して、

①事業者による基本方針の表明と労働者への周知
②がんなどの病気や両立支援に関する知識の普及・啓発のための教育
③治療への配慮などが円滑に進むような職場風土の醸成
④安心して相談・申出を行える相談窓口の明確化
⑤柔軟な勤務を可能とする休暇・勤務制度の検討、導入 など

 事前に、組織対応を検討し、全員参加となる取組を行いましょう。

治療と仕事の両立支援

 

「病気になっても仕事を続けられる職場環境を作りましょう!」チラシは、こちらです。

「治療と仕事の両立支援」利用申込書は、こちらです。

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