産業保健コラム

臼井 繁幸 相談員

    • 労働衛生工学
    • 第一種作業環境測定士 労働衛生コンサルタント
      ■専門内容:労働衛生工学
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改正・リスクアセスメント指針-30 拡散防止措置 局所排気装置の検査・点検-(9)

2018年04月


吸引能力不良の主な原因(チェック項目)と措置(先月の続き)


8. 外付け式フードの場合に、発散源の大きさ、発散方向、発散速度等が、発散有害物を完全にカバーできるフードの大きさ、形になっているか。

(1) フードの形・大きさ等が、発散源の大きさ・発散方向に適したものとなっているか。
例えば、
・ フードは気流に乗って飛散する有害物蒸気を受取るように設置されているか(レシーバー式)
・ 発散する有害物の蒸気の比重が空気より重たいのに、上方吸引型フードを使用していないか。
・ 熱による上昇気流がないのにキャノピ-型を使用していないか。

(2) 飛散速度が大きく、有害物を捕捉できていない場合は、次のような措置を取ります。
・ ファンの排風量のアップ (モータ回転数アップ等)
・    フードと発散源の距離を近づける、できれば発散源の一部でもフードの中に入れる
・ 有害物が一定方向に飛散している場合には、レシーバー式フードを採用する (フード開口面が飛散方向をカバーするように、有害物が飛び込んでくるように設置)

9. ダクト内に粉じん等が堆積し、圧力損失が増大したため、所定排風量が出ていない。

ダクトを軽く叩いてみると、堆積していれば鈍い音がします。
この場合には、堆積粉じんを除去します。
ダクトは、太くして流速を小さくした方が圧力損失は少なくて経済的ですが、 前記のように粉じんがダクト内等に溜まって詰まることを防止するためには、ダクトを細くして流速を大きくしなければなりません。

ダクト内に粉じん等を堆積させないために必要なダクト内の風速を「搬送速度」と言っています。
搬送速度は、これらを考慮して、有害物がガスや蒸気の場合は約 10m/sにし、重い粉じんの場合には20m/s 以上にするのが一般的です。

10. ダクト系全体の圧力損失を十分に考慮しなかった(過少評価した)ため吸引不足となっている。

設置したダクトが計画より細い場合や長い距離となった場合、又は、除じん装置等の排ガス処理装置の圧力損失を考慮しないで設計した場合等。

対策としては、ファンの能力アップや圧力損失の原因となっているものを改善します。
例えば、ダクトは、「太く」、「短く」、「ベンド(曲がり部分)は少なく」します。

11. ダクト系に漏れがあり、ここから空気を吸入しているため、所定排風量が出ていない。

漏れの原因は、破損(磨耗、腐食、穴あき、損傷等)、接続箇所のゆるみ(フランジの締付けボルト・ナット、ガスケット等の破損、欠落又は片締め)が考えられます。
対策としては、これらの漏れ原因(破損、ゆるみ箇所等)を調査し、その結果に基づいて改善します。

12. 風量調節用ダンパーの開度調節不良で、吸引不足となっている。性能保持のために調整された時の開度で固定されているか確認します。

13. 空気清浄装置(排ガス処理装置、集じん装置等)に詰まり、漏れがある。内部に粉じん等が堆積し、圧力損失が増大し、所定排風量が出ていない
場合や漏れ箇所からの空気の吸込みで、フードの吸込みが落ちている。

対策としては、これらの詰まりや漏れの原因を調査し、その結果に基づいて改善します。

14. 排風量に見合う給気(メークアップエア)が不足している。

給気が不十分であると、作業場内が減圧に状態になり、排気できる空気量が少なくなって、吸込みが悪くなる。
排風量に見合う給気が確保できる空気取り入れ口(給気口)を設けます。

15. その他、

外付け式フードの簡易な能力アップの方法として、フードの開口面のまわりにフランジを取り付けると、フードの後ろから来る気流を止めるので、その
分、前から吸込み量が増加します。
これは「フランジ効果」と言われるもので、フランジの大きさにもよりますが、一般に25%程度のアップが見込まれます。
さらに、フランジ付フードが、床、壁、衝立、カーテン、テーブル等に接していると、その方向から流れ込む気流を止めるので50%程度のアップが見込まれます。
又これらは、乱れ気流(妨害気流、外乱)の影響を小さくする効果もありますので、望ましい方法です。

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