産業保健コラム

武田 良平 相談員

    • メンタルヘルス
    • しののめクリニック 院長
      ■専門内容:心療内科・精神保健
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変わってゆく日本人の働き方

2022年12月


先日、ある中小企業の社長さんと話をする機会があり、私が精神科医であるとわかると「今はどこの会社も大変で、決められた労働時間では運営が難しくメンタルで辛いのはわかるが、働く時間を区切られるのも辛いのです」という事を話されました。私も別の企業を産業医として関わっており、企業の立場になると大変な気持ちが良く解かります。どこも人材不足で経営者や役職になると誰かが過重労働をしないと会社の運営が成り立たないのが現実で、管理職はどこにも言って行く所がありません。「24時戦えますか?」というCMが流れていておかしいと反論する人も少なかった時代もあったなぁと回想しても仕方がないのですが、どうすれば良いのか。働き方改革が必要なのはわかるのですが、解決する良いアイデァも浮かびません。若者も先が見えない時代に不安を抱えながら暮らしている感じがしています。実際に近年、クリニックにも若者からの問い合わせが多くなっております。

こんな沈んだ雰囲気を吹き飛ばしてくれたのが、サッカーワールドカップの日本代表の活躍です。勝てないだろうと言われていた(私も思っていましたが)ドイツ、スペインに逆転勝利。前半のもうダメだの沈んだ気持ちから一変、後半の歓喜に導いて頂きありがとうございますとお礼を言いたくて、何事も諦めてはいけないのだと教えられました。

若い彼らは、ゲーム以外の時もハードワークをしているからやれるのだと思うと「24時間戦えますか?」にまた戻ってしまいますが、実際にはあまり目立たず、ハードワークをしている人がいて社会は成り立っているのだと思っています。彼らや彼女達は普段はそれが当然のようにやっているので、周囲も「あの人は大丈夫」と安心したり頼り過ぎたりしているのではないかと感じております。

最近の風潮は、そんなハードワークをしている人が少しミスしたりすると正論を盾に社内外から非難される事が多くなっております。日本代表もコスタリカに負けた時、選手や監督は誹謗中傷を受けました。これが、サッカーなのかもしれませんが、日常生活にこんな事が続くと日々黙って一生懸命働いている、または働いてきたのがバカバカしくなります。数年前から「働かないおじさん」が話題になっていますが、いずれは「働かない若者」に拡大し「働かない日本人」になるのは悲しい限りです。良く頑張っている人にお礼と感謝の言葉を。言葉は大事、これだけでも多少良い方向に向くのではないかと思っております。

昨夜のクロアチア戦、残念ではありますが、本当に素晴らしかったです。ありがとうございました。

武田 良平 産業保健相談員(メンタルヘルス)

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