産業保健コラム

石戸谷 武 相談員

    • 産業医学
    • 前 聖カタリナ大学教授
      ■専門内容:心臓外科・循環器科・産業医学
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ダイエットのための食事と運動

2010年09月


 昨今のテレビ番組、テレビCM、新聞、雑誌で必ず出てくるのが、グルメ志向のオイシイ食べ物・飲み物、またなんら自分で動くこともなく筋肉をつくるという高価なマシーン等々であります。 人間食欲があることは非常に大切なことで、先ず健康の大本ではあります。しかし食事について「何の情報もなく」食べて、そしてオーバーになると、結果太りだし、ついには①糖尿病・②心臓病・③高血圧・④高脂血症・⑤肝機能障害・⑥腎不全を引き起こすことになります。そしてこれらの病気の合併症として、①では失明・腎不全・神経障害、②では狭心症・心筋梗塞の手術、③では脳梗塞・脳出血で半身麻痺・上手く喋れない、④では①②③の原因をつくり、⑤では体調不良やガンの基となり、⑥では人工透析・腎移植が必要になります。

 「何の情報・・・」ということは、
 先ず第1は自分自身の体の状態を知ることです。それには定期健康診断の各項目を見ることです。自分の肥満の状態はBMIの数値で分かります。
  {BMI=体重(㎏)/身長(m)×身長(m)}で計算します。

  例:身長175cmで体重80kgの人は  BMI=80/1.75×1.75=26.12 と出ます。
  この数値は国際分類では過体重(日本では肥満)になります。
  BMI値は
 低体重(やせ):18.5 以下
 正常域            :18.5~24.9(標準体重 22.0)
 過体重(肥満):25.0~29.9
 肥満                 :30 以上

 第2に、産業医として、定期健康診断結果を集計して目につくことは、先程の①~⑥の項目に異常値が出た人の場合、大抵はBMI値が22.0以上あるということです。つまり体重が多目であるという事であります。そこで「ダイエットが必要」ということになりますが、1月先の目標体重を決め、1日の総摂取可能なカロリー数を決めます(これは事業所の保健師・医師にご相談ください)。なにがなんでも自分のBMI値を一気に標準体重の22.0に持っていかなければならないということではありません。まず正常域内に収めることです。次に22.0を目標に掲げます。1月1㎏体重減量位の気持ちでゆくことが大切です。

 第3に、ダイエットには食事量を極端に減らせば(カロリー数だけ減らせば)よろしいかというと、それは短期的には成功しますがリバウンドがあったり、長続きせず良くありません。 そこで、第3-1として食べ方、第3-2としてGI値の低い食物を選ぶ必要があります。第3-1の食べ方として朝・昼・夜の3食はしっかり食べる。ただし「どか食い」はしない。一般日勤勤務では夜食・間食・糖分のあるジュースは摂らない(水、お茶の類はよい)。GI値の低い食べ物というのは、例えば、ご飯でも ・白米と玄米とではカロリーは356、350と同じだが、GI値は84、56と差があり ・食パンと全粒粉パンとではカロリーは264、240と同じでもGI値 91、50 ・うどんとそばとではカロリーは270、274とやはり同じでもGI値 80、59 ここでGI値が低いことはカロリーの基である糖質の腸からの吸収をゆっくりさせることを意味します。食べ方でも、低GI値食でも、高血糖値が長時間持続させないことが特徴であります。 高血糖の状態では体内ではインスリンを呼び出し、これが「余分な糖」を「脂肪に変える」(体重増加)し、また「備えられた脂肪を燃焼させない」(体重減少なし)働きをするからです。

 第4として、食べることを考えただけでは片手落ちで、体の色々な「筋肉を使う」ことが必要になります。筋肉を使うことで筋細胞は肥大して、これがカロリーを消費してくれることになります。運動のために高価な運動器具を使用するまでもなく、手っ取り早いのが速足散歩でありましょう。一般に、成人は1日約300kcal分のカロリーを運動で消費することが良いと言われております。運動には種類が多く、消費するカロリーは、例えば体重60kgの人が1分80mのスピードで18分散歩すると約80kcalが消費されます。同じ80kcal消費するのに、ゴルフ練習では16分間です。水泳平泳ぎでは8分間です。これらの時間の3~4倍は必要になります。そしてこういう運動を1週に最低3回は続けることが必要です。

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