産業保健コラム

石戸谷 武 相談員

    • 産業医学
    • 前 聖カタリナ大学教授
      ■専門内容:心臓外科・循環器科・産業医学
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更年期を乗り切ろう

2011年07月


人が生まれてから死ぬまでの一生は成長期、成熟期そして老化期の3期に分けられます。成長期から成熟期の転換期が思春期であり、成熟期から老化期のそれが更年期に相当します。これは人の体の内部の調整を司っている内分泌系(ホルモン)の作用により大きく影響を受けます。
思春期に入る前の少年や少女の体型はあまり変わりません。これが男性の場合、男性ホルモンの分泌が始まると筋肉の量が一挙に増え始めごつごつした男らしい体つきになります。声も変わり、毛も生えます。一方女性の方は女性ホルモン(黄体ホルモン・卵胞ホルモン)の作用で生理が毎月規則正しく見られるようになり、そして脂肪も増えてふっくらとした女性らしい体つきになります。
成年・壮年の成熟期を過ぎて老年期に入る曲がり角が更年期であります。
女性の場合、50歳前後になりますと卵巣の機能が低下してきて黄体ホルモン・卵胞ホルモンの分泌が少なくなり、やがて生理が止まります(閉経)。
この卵胞ホルモンの分泌が少なくなりますと、体には色々な症状が出てきます。
「ほてり」「発汗」「頭痛」「めまい」「気力がなくなる」などの症状がそれです。
しかしこればかりだけではありません、

①心臓・血圧に関係してくるものでは高脂血症が進むと動脈硬化が出現し、高血圧や狭心症が起こります。
②整形外科に関係したものでは肩こり、足冷え、腰痛、膝の痛み、腱鞘炎、テニス肘、手根管症候群(手首の痛み)などの症状があり、また骨量減少から骨粗鬆症(骨折の原因となります)が起こります。
③泌尿生殖器系では頻尿・尿失禁や膀胱炎が起こりやすくなり、性交痛が出ることがあります。
④皮膚の萎縮関係では肌につやがなくなり、うるおいも少なくなり「しわ」が出て来て、深くなります。
⑤精神神経系では記憶力が減退して、不眠・いらいらが出てきて抑うつ気分となります。

以上のことは必ず全部起こるわけではありませんが、女性ホルモン不足が深く関係しております。
この悩みは「女性ホルモン補充療法(HRT)」によって解消されます。
この女性ホルモン補充療法では乳がん発生が問題であるという論文がありますが、その発生率は0.6%とされております。どの場合でも大切なことですが毎年きちんと乳がん検診を受けるという事であると思います。
欧米の女性は40%がHRTを受けておりますが日本では僅かに2%だけです。
ホルモン補充療法を受けることによって、不快な症状を消し去り、快適な次の人生の第1歩としたいものです。

 

 

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