産業保健コラム

武田 良平 相談員

    • メンタルヘルス
    • しののめクリニック 院長
      ■専門内容:心療内科・精神保健
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ストレスチェック制度に思う事

2016年03月


ストレスチェックが始まりました。その目的は、一次予防として各人のストレスの気づきにある。「心理的な負担の程度を把握する為の検査」であり、職場環境の改善をしてメンタルの不調を未然に防ぐ事を目指しています。
ストレスチェックは、57項目の質問に答えを記入する方式です。高い得点の人は、高ストレス者となる。一見、理屈には合っていますが、得点の低い人の中にも高ストレス者はいます。病んでいる人は集中力が低下している為、適当に記入してしまう、もしくは、途中で止めたりする傾向があります。また、心が病んでいると不安感や猜疑心が生まれ、なかなか正直には答えられない。たとえそれが、会社にはわからないと言われてもすべてを疑ってしまうものである。
「自分の不調を周囲に知られたくない」
心を病むと本当の事はなかなか伝えられないものです。

また、このテストが毎年、同じ質問で繰り返されると数年後には記入する側とすれば、「またか」という思いも出てきて、雑に答えるようになるのではないか。57項目はよく考慮された内容ですが、10年間続くと真面目に答えられるかなと思ってしまう。社会の動きは早く、数年経過すると質問の内容や制度の手順等を少しずつ時代のニーズに合うよう変更していく必要もあると思う。マイナーチェンジを繰り返さないと良いものでも長い年数には耐えられないのではないかと懸念しています。いくら毎年言っても「職場は何も変わらない」と感じると答える気にもならなくなり、多くの人が適当に記入する悪循環に陥り、数年後には形骸化してしまうのではないかと今から心配しています。

今の時代は、迅速&正確さやコミュニケーション能力など高い水準を求めています。上司や同僚も余裕がないので、相談をしたくても出来ないのが現実だと思う。職場の環境を今よりストレスの少ない方向に変えるのは、本当に難しい作業です。

そう言えば、昔、「3時のおやつ」というのがあったと思う。
その時は、仕事の手を休めて、しばし休憩を取りました。こんな忙しい時にそんなヒマがあるわけない。ごもっともですが、こんな時だからこそ、多少の痩せ我慢をして、困難を笑う余裕が欲しいものです。

第二次世界大戦で ロンドンがドイツ軍の爆撃を受け、デパートの入口付近が破壊されました。それでも、デパートはいつものとおり営業し、入口には、「入口を広げてお待ちしております」の張り紙をしました。すごいですね。
日本の「サラリーマン川柳」も同じ感覚だと思います。
忙しい時にみんなで取るおやつの時間、復活すれば良いですね。

武田 良平 産業保健相談員(メンタルヘルス)

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