2017年12月
年間なんと1万7千人が死亡すると言われる「ヒートショック」。
高齢者を中心に誰でもなる可能性がある恐い症状です。
特に寒い時期に起こりやすい「ヒートショック」を防止するための対策をご紹介します。
■「ヒートショック」とは?
ヒートショックとは、暖かい場所から寒い場所へ移動することで起こる、急激な温度変化が影響し、血圧が大きく変化することが原因で起こる健康障害です。
失神、脳梗塞、心筋梗塞や不整脈などが引き起こされ、浴室で起こると転倒の危険や、湯船で溺れるなど、命に関わる場合もあります。
■ヒートショックによる死亡者は年間1万人以上
ヒートショックが原因で死亡してしまう人は、2011年の調査では、約1万7千人のも人がヒートショックの影響で入浴中に急死したという数が示されています。これは交通事故で死亡する人(平成28年3,904人)よりはるかに上回っています。
それだけヒートショックは恐い症状であり、思ってもいない瞬間に突然現れるのです。
■ヒートショックが起こる過程
1.ぽかぽか暖かいリビングから気温の低い脱衣所へ(寒さで血管が収縮→血圧上昇)
2.裸になった状態で寒い浴室に入る(血管収縮が加速→さらに血圧上昇)
3.ぽかぽか暖かい湯船にしばらくつかる(血管拡張し、しだいに血圧低下)
4.風呂上り、再び気温の低い脱衣所へ(寒さで血管収縮し→血圧上昇)
あまりに急激な寒さと熱さが繰り返されることで血圧が乱高下して引き起こされます。
■ヒートショックを防ぐには
寒い季節、脱衣所や浴室を温かくすることで、ヒートショックは予防できます。
また、トイレも体を露出させる場所なので温かく保つことが重要です。
1)脱衣所や浴室、トイレへの暖房器具設置や断熱改修
冷え込みやすい脱衣所や浴室、トイレを暖房器具で温めることは、効果的なヒートショック対策の一つです。(浴室で暖房器具を使用する場合は浴室専用の暖房器具を使用するなど注意が必要)
また併せて、窓まわりは熱が逃げやすい為、内窓を設置するなどの断熱改修で、外気温の影響を最少限に抑えることも重要です。浴室をユニットバスへ改修することでも断熱性は向上します。
2)今日からできる対策-シャワーを活用したお湯はり
シャワーを活用した浴槽へのお湯はりが効果的です。高い位置に設置したシャワーから浴槽へお温をはることで、浴室全体を温めることができます。今日からでもできる対策として取り入れると良いでしょう。
3)・夕食前・日没前の入浴
夕食を食べる前、日没前に入浴することも良い対策法です。日中は日没後に比べ、外気温が比較的高く、脱衣所や浴室がそれほど冷え込まないことに加え、人の生理機能が高いうち(※)に入浴することで、温度差への適応がしやすいためです。
(※)人の生命を維持する生理機能のピークは午後2~4時。これを過ぎると徐々に生理機能が低下していく。
4)食事直後・飲酒時の入浴を控える
食後1時間以内や飲酒時は、血圧が下がりやすくなるため、入浴を控えた方がよいでしょう。また、入浴前と後は必ずコップ一杯のお水を飲むことで血液がドロドロになることを予防できます。
5)湯温設定41℃以下
人によって影響は異なりますが、お湯の温度は、41℃以下にしておくことをお勧めします。
6)一人での入浴を控える
可能な場合は、家族による適切な見守りや、公衆浴場、日帰り温泉等を活用し、一人での入浴を控えるといった方法も有効です。
自分たちだけでなく、両親や祖父母が高齢の方はいっそうの配慮が必要です。
寒い季節、暖房や断熱改修を効果的に取り入れ、入浴の方法に気を配ることで、ヒートショックを予防しましょう。
<参考・引用文献>
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター「冬場の住居内の温度管理と健康について」
産業保健相談員 近藤 亨子(保健指導)
メンタルヘルスに関する様々なサポートについてのサイトです