産業保健コラム

コラム

健康診断の実施とその事後措置について

2013年06月


労働者の安全と健康を守るため、労働安全衛生法「以下、安衛法」は経営者に対して、1年に1回(深夜業などの労働者は半年に1回)健康診断を実施することを義務付けています。(安衛法66条1項)労働者が職業生活の全期間を通して健康で働くことができるようにするためには、経営者が労働者の健康状態を適格に把握し、その結果に基づき、医学的知見を踏まえて、労働者の健康管理を適切に講じることが不可欠です。そのため、経営者は、健康診断の結果、異常の所見があると診断された労働者について、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について医師等の意見を聴取し、必要があると認めるときは当該労働者の実情を考慮して、①就業場所の変更、②作業の転換、③労働時間の短縮、④深夜業の回数の減少等の措置を講ずる等、適切な措置を講じなければなりません。このように健康診断で異常の所見があった労働者は医師から意見を聴取しなければなりません。(安衛法66条4)医師への意見聴取は健康診断実施日から3ケ月以内に実施する必要が有ります。労働者50人以上の事業場は産業医を選任していますので、事業場の産業医に意見を聴いてください。50人未満の事業場では産業医の選任義務がありませんので健康診断結果について産業医の意見の聴取、就業上の措置、保健指導の依頼などの事後措置の実施に苦労されていると思います。しかし、50人未満の事業場でもできれば経営者は産業医を選任することが望ましいとされています。産業医は健康診断などの健康管理、衛生教育などを行うとともに、職場巡視などを行い、必要に応じて経営者に対して勧告、助言指導を行うことのできる医師です。産業医を選任することができない場合でも、もよりの地域産業保健センターで登録産業医から無料で産業保健サービスを受けることができます。まずは、最寄りの地域産業保健センターにご相談ください。
愛媛産業保健推進連絡事務所のホームページにある地域産業保健センターに、事業内容、利用方法、連絡先などがでていますのでご参照ください。
地域産業保健センターは厚生労働省から委託を受けて、無料で健康相談を実施しています。都道府県医師会又は産業保健推進センター(産業保健推進連絡事務所)の地域産業保健センターに事務所があります。電話して相談日を聞き、コーディネーターが産業医と日程調整をしますので、健康相談日に訪問して相談医に相談してください。産業医が「通常勤務」、「就業制限」、「要休業」の就業上の措置と意見を述べます。産業医自身が事後措置を引き受けるか、事業場近くのしかるべき医師を紹介してくれるもの思います。あとはその先生と相談しながら事後措置に関する経営者責任を立派に果たして労働者の健康を確保してください。

統括コーディネーター
矢 野 正 志

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