産業保健コラム

臼井 繁幸 相談員

    • 労働衛生工学
    • 第一種作業環境測定士 労働衛生コンサルタント
      ■専門内容:労働衛生工学
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改正・リスクアセスメント指針-28 拡散防止措置 局所排気装置の検査・点検-(7)

2018年02月


 今月は、局所排気装置を有効に機能させるための検査・点検について説明しますので、職場できちんと実施されているか、再度見直しをしてください。

 局所排気装置は、発生源から発生する有害物を全てフードに吸引し、作業場内に有害物が拡散しないようにするためのものです。
 それには、局所排気装置の点検・検査を行い、その結果に基づいて必要な措置をとり、性能を常に維持しておかねばなりません。
 そして、有効な機能を持った装置を、作業中は常時稼動させておくことが必要です。

 有機則・第18条 労働者が有機溶剤業務に従事する間、制御風速以上の風速で稼働させなければならない。

 性能維持のための検査・点検には、主に次のようなものがあります。

(1).初めて使用する時、又は分解・改造・修理を行つた時使用する際の点検

計画どおりの性能が確保されているかを点検します。
実務的には、設備施工を依頼した業者から完成時に「検査成績表」等が交付されますので、これで性能チェックができます。

有機則では、第22条 局所排気装置をはじめて使用する時、又は分解して改造若しくは修理を行つた時は、次の事項について点検を行わなければならない。
一 ダクト及び排風機におけるじんあいのたい積状態
二 ダクトの接続部における緩みの有無
三 吸気及び排気の能力
四 前三号に掲げるものの他、性能を保持するため必要な事項

(2). 設置後は、1年以内ごとに、定期自主検査を行い、性能が維持されているかを調べます。

有機則・第20条 局所排気装置は、1年以内ごとに1回、定期に、次の事項について自主検査を行わなければならない。
一 フード、ダクト及びファンの摩耗、腐食、くぼみその他損傷の有無及びその程度
二 ダクト及び排風機におけるじんあいのたい積状態
三 排風機の注油状態
四 ダクトの接続部における緩みの有無
五 電動機とファンを連結するベルトの作動状態
六 吸気及び排気の能力→ (制御風速)
七 上記の他、性能を保持するため必要な事項

1年を超える期間使用しなかった装置は、使用再開始の際に、自主検査を行わなければならない。

有機則・第21条 事業者は、自主検査を行なつた時は、下記の事項を記録して、これを3年間保存しなければならない。
(検査年月日、検査方法、検査箇所、検査の結果、検査実施者、補修等の措置)

上記(1)、(2)の検査における「吸気及び排気の能力」の検査は、有機則では「制御風速」を測定し、特化則では「制御風速」又は「抑制濃度」を測定
して、規定の能力以上であることを確認することが必要です。

制御風速の測定は、熱線風速計等で吸込み気流速度を測定して、制御風速以上であるかを確認します。
抑制濃度は、フード周辺の気中有害物濃度を測定し、抑制濃度以下であるかを確認します。

これらの点検・検査は、局所排気装置の知識を持っていて、検査機器の取扱いも熟知している者が行うことが必要です。

(3). 作業主任者が行う月例点検

次の定期自主検査までの1年間の性能維持を目的として、作業主任者が毎月点検を行う。

有機則・第19条の2 事業者は、有機溶剤作業主任者に次の事項を行わせなければならない。
二. 局所排気装置を、1月を超えない期間ごとに点検すること。

スモークテスター(白煙を出す検査器)を使って、フードへの吸込み気流を観察し、煙が完全にフードに吸い込まれているかを調べます。
又、外観検査では、損傷、脱落、腐食、異常音、等を調べます。

以上の点検・検査を行って、異常を認めたときは、直ちに補修します。

有機則・第23条 事業者は、点検・検査を行なつた場合に、異常を認めた時は、直ちに補修しなければならない。

 次回は、点検・検査の結果、吸い込み不良があった場合の原因と対策を説明します。

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