産業保健コラム

コラム

産業保健サービスの意味

2013年07月


地域産業保健センター事業が行う産業保健サービスにつきましては、健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針(以下、「指針」という。)で、産業医の選任義務のない事業場においては、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師等から意見を聴くことが適当であり、こうした医師が労働者の健康管理等に関する相談等に応じる地域産業保健センター事業の活用を図ることが適当である等を受け実施しているところです。

また、「指針」には、「労働者補償保険法」第26条第2項第2号の規定に基づく特定保健指導及び「高齢者の医療の確保に関する法律」第24条の規定に基づく保健指導を受けた労働者については、「労働安全衛生法」第66条の7第1項の規定に基づく保健指導を行う医師又は保健師にこれらの特定保健指導の内容を伝えるよう働きかけることが適当であるとあります。

この「高齢者の医療の確保に関する法律」、とりわけ「特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準」(以下、「基準」という。)は、「労働安全衛生法」その他の法令に基づき特定健康診査を実施した年度と同年度において健康診断を受けた場合であって、当該事実を保険者が確認した場合は特定健康検診を行ったものとみなすとあります。

「労働安全衛生法」第66条関係、「指針」における労働者が職業生活の全期間を通じて健康で働くことができるようにする「就業上の措置」については、高齢期における健康の保持を図るための適切な保健サービスを受ける機会を与える措置を目的とする「基準」の第一義的目的ではありませんが、その「指針」と「基準」の両者の任に当たる医師の職務上の二面性と行政事務所掌の不明確さ・連携の不備により、その実態を一層わかりづらくさせております。

しかし、平成20年3月1日施行の「労働契約法」第5条には「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をするものとする。」とあり、この労働契約の付随的な義務として、労働者に対して安全配慮義務を負担することの判例の示す意味が「物的・人的安全環境整備」から「適正・継続的な健康管理」及び「憎悪防止措置」さらには「メンタルヘルスケア」に努める義務をも使用者の安全配慮義務の義務内容を構成する傾向のようです。

労働政策の一環として、リスクアセスメント、労働災害の予防措置、快適職場づくり、生産性の向上等々と改めて、産業保健サービス「就業上の措置」の意味を噛み締めながら、業務をしなければと、痛感しているところです。

新居浜地域産業保健センター コーディネーター 福西紫朗

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