産業保健コラム

河東 極 相談員

    • 産業医学
    • 産業医
      ■専門内容:消化器外科・産業医学
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うつ病と不眠症の相関関係

2012年12月


 厚生労働省の「患者調査」気分障害患者数の推移によると、「うつ病」の患 者数は08年に70万人で96年の20万人から大幅に増えている。

 「うつ病」発生のメカニズムは完全に解明されていないが、「うつ」とストレスは強い関連性があると考えられる。精神と肉体に強いストレスがかかった 時に、そのストレスを回復する機能が何らかの不調をきたしたせいで憂鬱感が 続くのが、うつ病の中核を成している。重症のうつ病患者ではコルチゾールの調節機能が破綻している所見がみられると云われている。

 一方不眠症はうつ病との相関関係が極めて強い。不眠症は以下の4つに大別される。

①入眠障害:寝付きが悪く眠りに入るのに30分~1時間以上かかる。
②熟眠障害 :睡眠時間は充分だが眠りが浅い。眠りの質が悪くなるので熟眠度が希薄で眠気が残る。
③中途覚醒:小さな物音や尿意で夜中に何度も目覚める。
④早朝覚 醒:朝早く目覚めてしまい、再び眠ることができない。

 この中で早朝覚醒はうつ病の症状として出易く診断の決め手になることも多いという。
現代は24時間型の社会であるので生活も不規則になりがちで、起きて行動していると脳内にプロスタグランディンというような睡眠促進物質が貯まってくる。これがオーバーフローを起こすと脳が壊れてしまう。だから脳は限界に達 する前に「眠りなさい」と指令を発するのだが、不規則な生活の影響で充分な 対応をとれない人が急増している。「何時間寝たか」にこだわりがちだが、睡 眠で大切なのは時間ではなくその質である。充分に睡眠時間をとっても質が悪 ければ熟眠障害などの不眠症を起こすことになる。多少睡眠時間が短くても日 中睡魔に襲われることもなく満足のいく行動がとれていれば睡眠は足りている と理解して問題はない。

快眠のための7ヶ条

①毎日同じ時間に起きるようにする。
②就寝前にパソコン・携帯電話などの操作をしない。
③就寝前に消化の悪いものを摂らない。
④不眠を和らげる大豆食品やカルシウムを多くとる。
⑤睡眠薬代わりに寝酒をしない。
⑥照明は消すが真っ暗にしない。
⑦ストレッチなど激しくない運動を取り入れる。

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