2018年11月
今回は、発がん性のおそれのある化学物質のうち「経皮吸収」による健
康影響があるものについて、説明します。
これについては、H28年の厚労省の通達「発がん性のおそれのある化学物
質に係る健康障害防止対策の徹底について」(基安発0620第2号)がありま
すので、これに基づき説明します。
製造や取り扱う化学物質ごとにSDSにより危険有害性情報、ばく露防止
保護措置等について確認し、経皮ばく露等による健康障害のおそれが
あるものを把握すること。
なお、世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関(IARC)
が発がん性について
グループ1 (ヒトに対して発がん性がある)、
グループ2A (ヒトに対しておそらく発がん性がある)
グループ2B (ヒトに対して発がん性が疑われる)
のいずれかに分類している化学物質のうち、日本産業衛生学会や米国
産業衛生専門家会議(ACGIH)が経皮吸収による健康影響があるとして
いるものについては、下記のものがあるので、特段の注意を払うこと。
また、下記の化学物質を含め、経皮ばく露による発がんのおそれがある
化学物質を取り扱っている場合であって、SDSを入手していない、SDS
に記載されている情報が古い場合等については、新しい情報を記載した
SDSを当該化学物質の提供者から入手すること。
(1) 国際がん研究機関(IARC)グループ1 (ヒトに対して発がん性がある)
1,2,3,4,5,6-ヘキサクロロシクロヘキサン(別名リンデン) ベンゼン 4-アミノジフェニル
ベンジジン オルト-トルイジン 3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン
ベリリウム及びその化合物 塩素化ビフェニル(別名PCB)
(2) グループ2A (ヒトに対しておそらく発がん性がある)
N,N-ジメチルニトロソアミン N,N-ジメチルホルムアミド(別名DMF)
ジクロロメタン(別名二塩化メチレン) 硫酸ジメチル アクリルアミド
ジメチルカルバモイル=クロリド 2-ニトロトルエン(別名オルト-ニトロトルエン)
1,2,3-トリクロロプロパン ベンゾトリクロリド エピクロロヒドリン
1,2-ジブロモエタン(別名EDB)
ジチオりん酸O,O-ジメチル-S-1,2-ビス(エトキシカルボニル)エチル(別名マラチオン)
テトラクロロエチレン(別名パ-クロルエチレン) ヒドラジン
チオりん酸O,O-ジエチル-O-(2-イソプロピル-6-メチル-4-ピリミジニル)
(別名ダイアジノン)
N-(1,1,2,2-テトラクロロエチルチオ)-1,2,3,6-テトラヒドロフタルイミド(別名キャプタフォル)
(3) グループ2B (ヒトに対して発がん性が疑われる)
四塩化炭素 ジエチル-パラ-ニトロフェニルチオホスフェイト(別名パラチオン)
1,1-ジメチルヒドラジン
1,2,4,5,6,7,8,8-オクタクロロ-2,3,3a,4,7,7a-ヘキサヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン
(別名クロルデン)
ジメチル-2,2-ジクロロビニルホスフェイト(別名DDVP、ジクロルボス)
クロロホルム ヘキサクロロエタン ヘキサクロロエタン プロピレンイミン
1,4,5,6,7,8,8-ヘプタクロロ-3a,4,7,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン
(別名ヘプタクロル)
1,1,2,2-テトラクロロエタン(別名四塩化アセチレン) ジクロロ酢酸 オルト-アニシジン
ナフタレン 3,3’-ジクロロベンジジン 2,4-ジクロロフェノキシ酢酸 ニトロベンゼン
スチレン 4,4’-メチレンジアニリン 4-ビニルシクロヘキセンジオキシド アクリロニトリル
ジエタノールアミン ヘキサクロロベンゼン オルト-トリジン(別名3,3’-ジメチルベンジジン)
カテコール 2,3-エポキシプロピル=フェニルエーテル(別名フェニルグリシジルエーテル)
1,4-ジオキサン 2-クロロ-1,3-ブタジエン(別名クロロプレン)
エチレンイミン(別名アジリジン) 1,3-ジクロロプロペン
ヘキサメチルホスホリックトリアミド 塩素化カンフェン(別名トキサフェン)
上記の化学物質を含め、経皮ばく露による発がんのおそれがある化学
物質を事業場で製造や取り扱っていることを確認した場合には、
作業方法、作業環境、作業主任者(作業指揮者)等による作業管理状況、
保護具の使用保管状況等を点検し、当該物質による経皮ばく露のおそ
れがないか確認すること。
当該物質のばく露のおそれがある場合には、当該物質のSDSに記載さ
れているばく露防止措置や保護措置等を早急に講ずること。
呼吸用保護具、保護眼鏡、化学防護服、保護手袋等の保護具は、化学
物質等の性状、化学物質等を製造や取り扱う作業等に応じた適切なも
のを選定すること。
破損等がなく、また使用期限を超過していない適切な保護具の使用を徹
底するため、使用前の保護具の点検や日常の保守管理を適切に実施
すること。
適切な保護具の使用等を徹底するため、雇入れ時等の教育はもとより、
あらゆる機会を捉えた労働者に対する教育の実施や労働者の保護具の
使用状況の確認を行うこと。
上記の化学物質を製造や取り扱う業務に従事する労働者については、
特殊健康診断の対象になっていないものについても、定期健康診断に
おいて「既往歴及び業務歴の調査」や「自覚症状及び他覚症状の有無
の調査」等を通じた健康管理を的確に行うこと。
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