産業保健コラム

門田 聖子 相談員

    • カウンセリング
    • 産業カウンセラー
      ■専門内容:カウンセリング全般・治療と仕事の両立支援
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“今ここ”を大切にすることのススメ

2018年12月


 ここ数年、注目を浴びているマインドフルネスのプチ体験を通して、改めて“今ここ”にいることの必要性と難しさを感じたことを表現したいと思います。
 マインドフルネスは瞑想であるというイメージの強さからか、私には縁遠いものと感じていたのですが、たまたま援助者自身のこころのケアを目的とした体験の機会を得ました。
 ジョン・ガバット・ジンという方から近年のマインドフルネスブームは始まったと捉えてよいと思うのですが、今回私が受けたものは、アメリカの心理学者マーシャ・リネハンが開発した認知行動療法の一種で弁証法的行動療法(Dialectical Behavior Therapy,DBT)というものでした。私の体は動くのか・・・という不安も含め、どんなことをするのだろうという心配をよそに、とても楽しく、その場に集中することができました。自分の考えと感覚とこころに5分間集中すると、背骨の歪みと右肩の重たさを感じることができました。考えやこころに集中することはあっても、普段、ほぼ無視をしているに近い体や臓器を大切に扱ってあげることができたように思います。このようなマインドフルネス体験全体から、“これまでにも味わったことのあるこの感覚は?”と、過去の経験との紐付けが始まりました。自律訓練法を行った時の身体、内臓感覚に似ているもの、カール・ロジャーズのベーシック(非構成的)エンカウンターグループで味わったことのある感覚、それらに近いものだと感じました。
 これらは、全て“今ここ”の感覚を感じ、“気づく”ことに等しいものだと思います。また、実体験の感覚というものはないのですが、ダニエル・スターン著の「プレゼント・モーメント(現在の瞬間)」に表現されている、(間主観的接触の際に生じる)二人の心は相互に浸透し合い、「あなたは私が感じていることを感じていて、それを私も感じている」というような状態も、他者との間ですが、今ここを共有していることともいえる状態ではないでしょうか。以上のことは、過去でもなく、未来でもなく、今ここにいることの証をこころと体で感じるということだと思います。私たちは、いくら頭で、“今ここ”と思ったり、唱えたりしても、長年慣れ親しんだ思考、感情、行動にはストップがきかず、過去と未来に支配されてしまうことが多いのではないでしょうか。

やはり、今ここにいることは難しい、だからこそ、“今ここ”に自分を連れ出す手法を、いくつか持つことが重要であると思われます。それは、マインドフルネスや自律訓練法であったり、来談者中心療法や間主観的カウンセリングであるかもしれません。ご自分に合う手法で、セルフケア、リフレッシュ、問題解決のために、過去と未来を切り離してみませんか。また、トラウマとなるようなこころの状態に遭遇してしまった時、癌のような病気と向き合うことが必要になった時にも、“今ここ”を感じることに効果はあると思われます。

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