2019年02月
今月から化学物質のリスクアセスメントに変わり、化学物質対策についての情報をご紹介します。
タイトルは、「よもや話」としていますが、ニュース、トピックス、各種法令・判例・事例等々、職場における化学物質対策についての情報をご紹介しますので、職場の化学物質管理の見直しにご活用ください。
今月は、作業環境測定に、個人サンプラーによる測定が導入(追加)される運びになっていることを紹介します。
現在の作業環境測定は、安衛法第65条、第65条の2に基づき、事業者に一定の作業場において化学物質等の濃度を測定・評価するための作業環境測定(A・B測定)の実施が義務づけられています。
A測定は、作業場の化学物質等の空気中濃度を測定する方法で、等間隔
で引いた縦の線と横の線との交点で測定を行うことで、作業場の平均
的な濃度分布を調べる測定法。
B測定は、化学物質等の発散源に近接し濃度が最も高くなる位置で測定
を行うことで、作業者の高濃度ばく露の危険性を調べる測定法。
この測定方式の改善については、平成22年に、個人サンプラーによる測定の導入が望ましいとの検討会報告や、平成27年には、化学物質のリスクアセスメント指針で、ばく露量測定の一手法として、個人サンプラーを用いた測定が示されました。
また、第13次労働災害防止計画においても、「作業環境測定の実施方法に個人サンプラーによる測定方法を追加し、作業態様に応じた測定・評価方法を選択できるようにする」と明記されました。
このような中、個人サンプラーを活用した作業環境管理の導入に関する検討会(6回)がもたれ、新しい測定方法の追加が提言されました。
この報告書による提言では、個人サンプラーによる測定方法は、作業環境測定に加えて、リスクアセスメントも同時に行うことができるため、作業環境測定の一つの方法として広範な作業場に導入することが望ましいとされています。
個人サンプラーによる測定は、作業者の呼吸域(胸元等)に化学物質等の捕集
用機器(サンプラー等)を装着し、1日の作業時間中(原則8時間)、呼吸域の
空気中濃度を測定する方法。
但し、個人サンプラーによる測定方法を導入するにあたっては、現在、この測定を実施できる作業環境測定士の数が十分でないため、養成の期間などを考慮して、まずは一部の作業について、個人サンプラーによる測定の方法を先行導入し、A・B測定と個人サンプラーによる測定のいずれかを選択できるようにすることとされました。
先行して部分的に導入される作業
(1).発散源が作業者と共に移動し、発散源と作業者との間に測定点を置く
ことが困難な溶接、吹付け塗装等の作業
(2)有害性が高く管理濃度が低い物質(管理濃度0.05mg/m3以下の物質
等)を取り扱うことにより、作業者の動きにより呼吸域付近の評価結
果がその他の作業に比べて相対的に大きく変動すると考えられる作業
厚労省では、この報告書での提言を受け、個人サンプラーによる測定の先行導入作業に対する具体的な測定・評価方法や、この測定を実施できる人材の養成方法等の詳細を検討の上、法令改正等の必要な準備を進めることになっています。
(参考)
現在、安衛法で作業環境測定(A・B測定)が義務づけられているのは104物
質、リスクアセスメントの実施は、義務が673物質で、努力義務は約7万物質(GHSで危
険・有害生が示されているもの)です。
また、リスクアセスメントを実施するに当たっては、個人サンプラーを用いた個人ばく露測
定が示されています。
作業環境測定に個人サンプラーによる測定方法を導入することは、リスクアセスメントと
作業環境測定を一括して実施することができ、効率・精度の良い労働衛生管理
(環境・作業・健康管理等)に有用です。
今後のスケジュール(見込み)
報告書以降 測定・評価基準、作業環境測定士養成方針等の原案作成
2019年年央 必要に応じ同原案を議論するための検討会を開催
2019年? 作業環境測定士養成テキスト作成、講師養成研修の実施
2019年以降 関係省令等の改正作業(先行導入部分)
2020年度? 作業環境測定士養成研修スタート
2021年度? 改正省令等の施?(先行導入スタート)
2023年以降 検討会を開催し、全面導入の可否等を検討
あなたの職場では、化学物質のリスクアセスメントに際して、作業者のばく露量を何をもって推定していますか(ばく露量の推定方法)。
ばく露量の正確さが、リスクアセスメントの結果にもろに効いてきますので、今一度、ばく露量の推定方法の見直しを行ってください。
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