産業保健コラム

近藤 亨子 相談員

    • 保健指導
    • 元 愛媛産業看護研究会 会長
      ■専門内容:産業保健指導・産業看護・事業場における治療と職業生活の両立支援
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あなたの“睡眠”は心地よいでしょうか

2019年03月


 詩人孟浩然の有名な詩「春眠暁を覚えず」のように、いくらでも寝ていたい今日この頃です。
 “眠り”は私たちの人生の3分の1を費やしています。ことわざにも「早寝早起き病知らず」「早起きは三文の徳」「寝る子は育つ」「寝溜めと食い溜めは役に立たない」と昔からよく言われています。
 健康と睡眠は密接な関係があり、睡眠の悩みをそのままにしておくと、生活・仕事の質が低下したり、他の病気にもつながることがあります。
 睡眠の悩みを解消して、充実した人生をおくりたいものです。

 では、働き盛りの世代の睡眠状態がどのようになっているのかを見てみましょう。
 厚生労働省の2017年国民健康・栄養調査によると、20歳代以上の男女の1日の平均睡眠時間を調べたところ、1日の平均睡眠時間は、「6時間以上7時間未満の割合」が最も高く、男性35.0%、女性33.4%になっています。「5時間以上6時間未満」と「5時間未満」の割合を合わせると、男性 36.1%、女性 42.1%であり、性・年齢階級別にみると男女とも40歳代で最も高く、それぞれ48.5%、52.4%です。
 世代別で男女を比べると、40歳代以上では、いずれも女性の方が睡眠時間が短い傾向が強くでています。
 「ここ1ヶ月間、あなたは睡眠で休養が十分取れていますか」の問いには、20.2%の者が「あまり取れていない」又は「まったくとれていない」と回答し、平成21年(18.4%)からの推移を見ると、有意に増加しているとの結果になっています。

 厚生労働省県健康局から「健康づくりのための睡眠指針2014~睡眠12箇条~」が示されています。
 この睡眠12箇条をお読みになって、ご自身の睡眠を振り返り、快適な睡眠をめざしましょう。

第1条 良い睡眠で、からだもこころも健康に。
良い睡眠で、からだの健康づくり!
良い睡眠で、こころの健康づくり!
良い睡眠で、事故防止!

第2条 適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
寝つきをよくするために、寝酒をする人がいますが、お酒は睡眠を浅くするため、熟睡感が得られません。
ニコチンやカフェインには、覚せい作用があるため、就寝前の喫煙やコーヒー・紅茶等の摂取を避けましょう。

第3条 良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
睡眠不足や不眠は、生活習慣病発症の危険を高めます。
睡眠時無呼吸症候群の予防のために、肥満にならないことも大切です。

第4条 睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
眠れない、睡眠による休養感が得られないのは、こころのSOSの場合があります。
睡眠により休養感がなく、日中もつらい場合、うつ病の可能性も。

第5条 年齢や季節に応じて、昼間の眠気で困らない程度の睡眠を。
睡眠時間は加齢に伴い、徐々に短縮します。必要な睡眠時間は人それぞれです。
日中に、眠気で活動に支障がでない程度の睡眠が一番です。

第6条 良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
温度や湿度は、季節に応じて、心地よいと感じられる程度に調整しましょう。
意識的に体をリラックスさせることで、気持ちもリラックスし眠りに入りやすくなります。

第7条 若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
朝、目が覚めたら日光を浴び、体内時計をリセットしましょう。遅くまで寝床で過ごすと夜型化を促進します。
寝床に入ってから携帯電話、メール、ゲームなどに熱中すると目が覚めてしまい、夜更かしの原因になります。

第8条 勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
睡眠不足は仕事の能率を低下させるだけでなく、ヒュウーマンエラーの危険性を高めます。
睡眠不足が長く続くと、疲労回復に時間がかかります。睡眠不足による疲労の蓄積を防ぐためには、毎日必要な睡眠時間を確保することが大切です。
夜間に必要な睡眠が確保できなかった場合は、午後の早い時刻の短い昼寝が能率改善に効果的です。

第9条 熟年世代は朝晩メリハリ、昼間に適度な運動で良い睡眠。
長い時間眠ろうと、寝床で過ごす時間を必要以上に長くすると、かえって睡眠が浅く、夜中に目覚めやすくなります。
日中にしっかり目覚めて過ごせているようであれば、適切な睡眠時間は確保できていると考えられます。

第10条 眠くなってから寝床の入り、起きる時刻は遅らせない。
無理に眠ろうとすると、かえって緊張を高め、目がさえてしまいます。
寝床についても30分以上眠れない場合は、一旦寝床をでて気分転換をし、眠気がでてから再度寝床につきましょう。

第11条 いつもと違う睡眠には、要注意。
睡眠中の激しいいびき・呼吸停止、手足のびくつき・むずむず感や歯ぎしりは要注意です。
眠っても日中の眠気や居眠りで困っている場合は専門家に相談しましょう。

第12条 眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。
寝付けない、熟睡感がない、十分に眠っても日中の眠気が強いことが続くなど、睡眠に問題が生じて、自らの工夫だけでは改善しないと感じたときには、早めに専門家に相談することが重要です。
睡眠薬は、専門家の指示で使用しましょう。
また、ストレスを抱え込むと不眠症状に陥ることも多くあります。職場を離れたら仕事のことは考えない、休日は趣味にうちこむ、湯舟にゆっくりとつかり、睡眠は十分にとるなど、自分にあった方法で心身のリフレッシュを心がけましょう。

 「Dr.山本のSTRESS解消法」をご紹介いたします。
 山本晴義先生:横浜労災病院 勤労者メンタルヘルスセンター長

 ご自身ができることを一つででも実行し、ストレス解消に努めていきましょう。

S…Sport/スポーツ
運動は心地よい疲労感が得られる程度でOK。記録よりも楽しみながらやるとストレス解消になる。

T…Travel/トラベル
日常のストレスを癒すには、自然に親しむこと、通勤の途中、公園に寄ってみるのも小さな旅行。週末に郊外に出かけたり、温泉旅行をするのも楽しい。

R…Rest & Recreation/休養・余暇
睡眠以外にも息抜きに時間を小まめに撮ることがストレス解消に有効。
一人でのんびりするのも良し、人と会話するのも楽しい。

E…Eating/食事
日常の食卓のほか、家族や友人と四季のものを味わう。美味しいもの、
そして栄養のあるものを食べるのはストレス解消になる。ちなみにビタミンCや乳製品はストレスに強い栄養素である。

S…Speaking & Singing/話す・歌う
コンピュータに囲まれた職場では会話が少ない。声を出すことが元気のもと。おしゃべりやカラオケなど、大きな声を出したり感情を表現することでストレスを解消する。

S…Sleeping ,Smiling & Sake/睡眠・笑い・適度なお酒
よく寝る、毎日の生活の中に笑いを増やす、そして適度なお酒を楽しむことができたらストレスは吹っ飛ぶ。

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