産業保健コラム

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「産業医ができること 目指せ健康経営!」のご案内

2019年03月


【産業医に期待できること】

産業医が会社に関わることで期待できる主要な点を記載しています。
産業医には、医学的な立場から労働者の健康保持増進や職場環境の改善などについて助言してもらい、より働きやすい職場を作り上げていくよう一緒に考えてもらいましょう。

(1) 健康診断とその結果に基づく措置

健康診断は実施することだけが目的ではありません。その結果から労働者が就労できる健康状態かを確認することが主な目的です。健康診断結果が届いたら産業医に個別の健康診断結果を確認してもらい、これまでと同じ働き方で問題ないか産業医の意見を確認しましょう。健康上の課題があり、現行の就労が危ぶまれる場合には、労働者は治療などを行い健康上の課題を軽減するように努めるとともに、事業者は安全配慮義務の観点から産業医の就業に関する意見を踏まえ、労働者の働き方の変更に取り組みましょう。

また、健康診断は生活習慣病の予防と治療の契機にもなります。早期に対応を行うことは、現時点の病気を改善するだけでなく、将来的に体調を崩して長期に仕事ができなくなる状況を避けることができるかもしれません。医療機関への受診勧奨や保健指導を産業医等に対応してもらいましょう。

(2) 治療と仕事の両立支援

以前は「病気の治療=仕事を休んでの自宅療養・入院治療」と考えがちでしたが、今は治療をしながら就業する労働者が増加傾向にあります。このような労働者がいる場合、本人からの申出に加え産業医にその労働者と面談してもらい、専門的な見地から就業の可否・適正な配慮の必要性などについてアドバイスをしてもらいましょう。本人はつい無理をしがちで、病気が悪化してしまうこともあります。事業者が産業医に適切な意見を求めることで、適切な治療を受けながら就労を継続することが期待できます。

(3) ストレスチェック制度や長時間労働者への対応

事業場のメンタルヘルス対策の一次予防を促進する目的でストレスチェック制度が定められており、産業医はストレスチェック制度における実施者の役割を行うことが望ましいとされています。また、ストレスチェックによりストレスが高いと判断された労働者が申し出た場合、医師による面接指導が必要となります。会社の状況を理解した医師が面接指導の役割を担うことが望ましく、日頃から社内の健康に関わる事項について相談に乗ってもらっている産業医に面接指導を担当してもらうことが良いでしょう。

なお、長時間労働は脳心疾患や精神疾患のリスクとなり、労災認定の要件にも含まれています。過重労働による健康障害を防止する観点から、一定の要件の下で医師の面接指導制度が定められており、これらの活動に産業医が必要です。会社のリスク管理の観点からも長時間労働の従業員に対する「健康リスクの評価と対策」について産業医と相談しましょう。

(4) 職場巡視

産業医が職場巡視をする目的は2点に大別できます。
1つ目が「健康な労働者が、会社で働くことにより健康状態を悪化させないようにする」こと、2つ目が「病気を持っている労働者が、会社で働くことによりその病気を悪化させないようにする」ことです。産業医は医学の視点から労働者を個別に診るだけでなく、職場を併せてみることにより、これらの目的を遂行します。

(5) 衛生委員会

産業医は衛生委員会のメンバーです。委員会では、健康管理体制や職場環境、働き方について審議されますが、その際に医学的な立場からアドバイスをしてもらいましょう。また、産業医が委員会に参加することで事業場の活動状況や課題をより詳しく産業医に理解してもらうことも期待できます。

(6) 情報管理

健康情報は機微な情報であり、取扱いには細心の注意が必要です。職場で病気が悪化しないように配慮をする場合は、ある程度、職場への説明と理解が必要ですが、同時にプライバシー保護の配慮も必要です。健康情報の開示について労働者の同意をとりつつ、産業医が医療情報を適切な形で加工し、従業員の健康状態をわかりやすい形で人事や上司などに説明することで、労働者への配慮、職場環境の改善が適切に行えるようになることが期待できます。

◆「産業医ができること 目指せ健康経営!」は、こちらです。【機構本部】

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