産業保健コラム

廣瀬 一郎 相談員

    • カウンセリング
    • カウンセリングルームこころの栞 主宰カウンセラー
      ■専門内容:カウンセリング全般
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身から出た錆という名のストレス

2020年02月


 この名前はあくまでも筆者が名付けたストレス名です。先ずはそこをお断りしておきます。

 「しっかり掴もうとすると壊れてしまう」という言葉があります。「しっかり間違えなくやらなければならない」と思えば思うほど体と心が緊張してしまいます。「もっと、もっと」と力むほど、より一層拳を握りしめ硬くなり、挙げ句の果てには今手に入れてあるものまで握り潰してしまいかねないことになります。自由から不自由へ、幸せから不幸せになりかねないのです。何がこのようにさせるのでしょうか?今、自由であるにも拘わらず、今幸せだと気が付かず不自由な不幸せな状況を結果的に選択してしまうのでしょうか?

 これは自分自身の内面に巣食うパターン化された「くせ」、影みたいなものの影響ではないでしょうか。これを私は内面からのその人独特のかつ普遍的なストレス源がその要因ではないかと考えています。ストレスを抱えている方の問題は、「ストレスを抱えている」ことではなく、ストレスを感じやすい「考え方のクセ」を持っているということです。認知行動療法という心理療法では、「考え方のクセ」=「認知の歪み」と呼び、ストレスの多くは、この「認知の歪み」によって作り出されると考えられています。自分自身の「考え方のクセ」に気づき、その歪んだ考え方を現実的な考え方に変えることができれば、今ある自由や幸せにも気づく事が出来るのではないでしょうか。

 日々の生活の中で起こるストレスの原因を環境や周囲にばかり求めていては、錆が自身を滅ぼすように、最終的には自滅することにもなりかねません。外からのストレスのみに注目しがちですが、このシャドウストレス(これも造語でユング先生すみません)に気づき対処することも優先されなければならないと思います。

産業保健相談員 廣瀬 一郎(カウンセリング)

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