産業保健コラム

臼井 繁幸 相談員

    • 労働衛生工学
    • 第一種作業環境測定士 労働衛生コンサルタント
      ■専門内容:労働衛生工学
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職場での新型コロナ感染防止対策

2020年04月


 私たち一人一人の行動変容が求められています。
 新型コロナウイルス感染拡大防止対策について、3月31日に厚労省から要請が出され、職場実態に即した、実行可能な感染防止対策を、以下の内容やチェックリスト等を参考に、職場のライン、スタッフ、安全衛生委員会等を活用して進めていただきたいとのことです。

 下記にチェックリストを示しますので、職場対応の見直しを実施し、結果を安全衛生委員会等で審議してください。

「チェックリスト」

 職場における基本的な対策の実施状況について確認するもので、職種等で対応できないものもあります。
 職場の実態を確認し、全員(事業者、労働者)が、すぐに出来ることを確実に実施することが大切です。

1 感染防止のための基本的な対策

(1)咳エチケットの徹底

  • 咳エチケットを全員に周知し、徹底を求めている。

(2)手洗い等の徹底

  • こまめな手洗いの重要性について全員に周知し、徹底を求めている。
  • 人がよく触れる箇所について、拭き取り・消毒を行っている。

(3)日常的な健康状態の確認

  • 出勤前に体温を確認するよう全員に周知し、徹底を求めている。
  • 出社時等に、全員の日々の体調(風邪症状や発熱の有無等)を確認している。
    または、風邪症状や発熱があれば上司等に報告するよう求めている。

(4)その他の対策

  • 長時間の時間外労働を避けるなど、疲労が蓄積しないように配慮している。
  • 十分な栄養摂取と睡眠の確保について全員に周知し、意識するよう求めている。

2 クラスターの発生防止のための対策

(1)基本的な対策

  • ①換気の悪い密閉空間、②多くの人が密集、③近距離での会話や発声
    の3つの条件を同時に満たす社内行事等を行わないようにしている。

(2)換気の悪い密閉空間の改善

  • 職場の建物が機械換気(空気調和設備、機械換気設備)の場合、ビル管理法令の空気環境の基準が満たされている。
  • 職場の建物の窓が開く場合、1時間に2回程度、窓を全開している。
  • 電車等の公共交通機関の利用に際し、窓開けに協力するよう全員に周知している。

(3)多くの人が密集する場所の改善

  • 在宅勤務、テレワークを推進している。
  • 時差通勤、自転車通勤の活用を図っている。
  • テレビ会議等により、人が集まる形での会議等をなるべく避けるようにしている。
  • 対面での会議やミーティング等を行う場合は、人と人の距離を2メートル以上取るようにしている。
  • 社員食堂での感染防止のため、座席数を減らす、昼休み等の休憩時間に幅を持たせている。
  • 喫煙場所の利用を制限している。

(4)近距離での会話や発声の抑制

  • 職場では、人と人との間に距離をなるべく保持するようにしている。
  • 外来者、顧客、取引先との対面での接触をなるべく避けるようにしている。

3 風邪症状が出た場合等の対応

  • 風邪症状等が出た場合は、「出勤しない、させない」の徹底を全員に求めている。
  • 「新型コロナウイルス感染症についての相談の目安」や最寄りの相談先を全員に周知している。

4 新型コロナウイルス感染症の陽性者等が出た場合等の対応

(1)陽性者等に対する不利益取扱い、差別禁止の明確化

  • 新型コロナウイルス感染症に陽性であると判明しても、解雇その他の不利益な取扱いを受けないこと及び差別的な取扱いを禁止することを全員に周知し、徹底を求めている。

(2)陽性者等が出た場合の把握

  • 新型コロナウイルス感染症に陽性であると判明した場合は、速やかに事業場に電話、メール等により連絡することを全員に周知し、徹底を求めている。
  • 新型コロナウイルス感染症に陽性であると判明した第三者との濃厚接触があり、保健所から自宅待機等の措置を要請された場合は、速やかに事業場に電話、メール等により連絡することを全員に周知し、徹底を求めている。
  • 新型コロナウイルス感染症に陽性であるとの報告を受け付ける事業場内の部署(担当者)を決め、全員に周知している。
    また、こうした情報を取り扱う部署(担当者)の範囲を決め、全員に周知している。
  • 新型コロナウイルス感染症に陽性である者と濃厚接触した者が職場内にいた場合にどのような対応をするかルール化し、全員に周知している。

(3)その他の対応

  • 濃厚接触者への対応等、必要な相談を受け付けてくれる「保健所」、「帰国者・接触者相談センター」を確認してある。

5 感染防止に向けた行動変容

  • 事業場のトップが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に積極的に取り組むことを表明している。
  • 安全衛生委員会等の労使が集まる場において、新型コロナウイルス感染症の拡大防止をテーマとして取り上げ、事業場の実態を踏まえた、実現可能な対策を議論している。

なお、より詳細な内容は、基安発0331 第2号 令和2年3月31 日付け、
「新型コロナウイルス感染症の大規模な感染拡大防止に向けた職場における対応について(要請)」を参照してください。

臼井繁幸 産業保健相談員(労働衛生コンサルタント)

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