産業保健コラム

近藤 亨子 相談員

    • 保健指導
    • 元 愛媛産業看護研究会 会長
      ■専門内容:産業保健指導・産業看護・事業場における治療と職業生活の両立支援
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自分の健康状態を知り、健康維持・増進につなげよう!!

2020年04月


 季節の変わり目の時期は、日によって気温差があり体調管理が難しいこの頃です。
 免疫機能を低下させないことが、感染症にもかかりにくくなりますので、日常生活の健康管理を徹底し、規則正しい生活を送ることが大切になります。
 労働者は、労働安全衛生法で特別な業務等に従事していない場合については年1回一般健康診断を受診しなければなりません。健康診断の結果は、ご自身で覚えていますでしょうか。経年ごとの検査項目の数値の変化に目を向けましょう。食生活や運動、睡眠などについて考え、自分自身の生活習慣を見直すきっかけになります。

※どのような健康診断の項目があるのでしょうか。

1. 既往歴および業務歴の調査
・本人のこれまでの病歴や健康に関連する業務歴などを確認します。

2. 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
・本人の心身の不調の訴えを聞き、医師が目で見て、触れて、聴診器で診断します。

3. 身長、体重、腹囲、視力および聴力の検査

4. 胸部エックス検査
・肺や心臓の異常を調べる検査

5. 血圧の測定
・血圧を測り、循環器系の状態を調べます。

6. 貧血検査
・赤血球数、血色素(ヘモグロビン)の量で、貧血の有無を調べます。

7. 肝機能検査
・AST、ALT、r-GTPの値で、肝機能の異常の有無を調べます。

8. 血中脂質検査
・動脈硬化などの原因となる中性脂肪やHDLコレステロール、LDLコレステロ
ールを測定します。

9. 血糖検査
・空腹時血糖を測定し、糖尿病の有無を調べます。

10. 尿検査(尿中の糖および蛋白の有無を検査)
・腎臓、尿路の状態や糖尿病などを調べます。

11. 心電図検査
・不整脈や狭心症など心臓に関わる病気を調べます。
※一部医師の判断により省略が可能な項目があります。また、事業所において独自に健診項目が追加等されるところもあります。
健診結果通知が届いたら、ご自分の結果に目を通しましょう。「要再検」「要精密検査」
「要治療」の判定がある場合は、早急に医療機関に受診し治療を開始したり、詳しい検査を受けることをお勧めいたします。

※日頃からの健康管理のアドバイス

1. 自分の適性体重を把握し、維持を心がけましょう。
体重は健康と栄養状態の目安として重要です。太り過ぎは、がん、循環器疾患、糖尿病などの生活習慣病の原因となりますが、一方でやせ過ぎも若い女性では骨量減少、低出生体重児出産のリスクがあり、高齢者では虚弱の原因となるなどの問題があります。
・適正体重は、「(身長m)2×22」で求めます。
・肥満度は、BMI(Body Mass Index)はボディマス指数と呼ばれ、体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数です。 BMI=体重(kg)÷(身長m)2
<日本肥満学会の判定基準>
BMI値          判定
18.5未満        低体重(痩せ型)
18.5~25未満    普通体重
25~30未満      肥満(1度)
30~35未満      肥満(2度)
35~40未満      肥満(3度)

2. 朝食は必ず食べましょう。
朝ごはんを抜いて空腹のまま会社にいくと、脳だけでなく体を動かすエネルギーを取り入れていないために、元気が出ません。朝食は、1日の活動の元になるエネルギー源(ブドウ糖)を脳に送り、集中力をアップさせるなど「やる気!」の源になります。代謝を促進するビタミンB群(豚肉・ハム・納豆など)を合わせて摂るとより効果が上がります。

3. 主食・主菜・副菜を組み合わせてとりましょう。
忙しいときや外出の際には、食事を丼ぶりものやめん類だけで済ませてしまうことはありませんか。単品では栄養バランスが偏りがちになります。主食・主菜・副菜を組み合わせて、適切な量の食事をバランスよくとりましょう。

4. アルコールの節度ある適度な飲酒量は。
健康な男性であれば、一般的には1日にビール500mL(日本酒の方は1合相当)程度なら「節度ある適度な飲酒」と考えられています。その倍になると、「高血圧や脂質(中性脂肪やコ
レステロール)異常といった生活習慣病を引き起こしやすい」と警告されています。その3倍(ビール1.5L程度)は完全にアウトのレベルで、健康のみならず酔ってのけがや失態も心配となります。女性や高齢者はこの半分程度を心がけてください。

5. 良質な睡眠をとりましょう。
睡眠時間は、9時間必要な人も居れば、5時間でよい人も居ます。また季節でも変化しますし、歳とともに必要な睡眠時間は短くなります。気分の落ち込みや記憶力低下のなど、あらゆることに影響しますので、朝起きたとき時疲れが残っている状態はよくありません。
では、良質な睡眠をとるためには次のことを心がけましょう。

①睡眠ホルモンのメラトニンは、朝に光を浴びてから14~16時間後に分泌が始まり、午前2時ごろに最も増えると言われています。メラトニンは目からの刺激に左右されるので、夜は明るすぎない照明を心がけてください。また、パソコンやテレビ、スマートフォンなどブルーライトを発する電子機器の使用はなるべく避けたほうがいいでしょう。

②入浴は、寝る1~2時間前までに、40℃前後のぬるめのお湯に10~30分浸かるのが良いとされています。

③完全な無音状態よりも、自然に近い音が流れていたほうが入眠しやすいことが分かっています。規則性と不規則性が調和した「1/f ゆらぎ」と呼ばれるヒーリングサウンドや、α波を放出するクラシック音楽などがおすすめです。

 健康診断結果は、1年間は保存しておきましょう。病気になった時には、その健康診断結果を病院に持参しましょう。今までの健康状態がどのようであったかが参考になります。

産業保健相談員 近藤 亨子(保健指導)

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