産業保健コラム

臼井 繁幸 相談員

    • 労働衛生工学
    • 第一種作業環境測定士 労働衛生コンサルタント
      ■専門内容:労働衛生工学
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職場の化学物質 よもやま話-23 年末年始のコロナ対策、感染リスクが高まる「5つの場面」

2020年12月


新型コロナウイルス感染症は、新規感染者が2,500人前後と連日最多を更新しています。
さらに、これからの時季は、忘年会、クリスマス、年末年始の帰省等々、多くの人が集まる機会や人の移動が増えます。
飲食を伴う大人数での宴会や会食の機会が増えて感染のリスクが高まるとともに、人の移動に伴う感染拡大が懸念されます。
このような状況下、国は12/2、年末年始の新型コロナ感染拡大を防ぐため、「年末年始特設サイト」を開設しました。
この内容は、第12回新型コロナウイルス感染症対策分科会(10/23)が、政府へ提言したものです。
これまでの感染拡大の経験、クラスター分析で得られた知見から、感染リスクが高まる「5つの場面」と「感染リスクを下げながら会食を楽しむ工夫」としてまとめられています。
以下に内容を紹介しますので、活用ください。

基本的な対策の徹底

1. マスクの着用
2. 三密(密閉、密集、密接)の回避
3. 手洗い
4. 消毒等、
5. 室内の換気と一定湿度の確保
6.会話の際には、いつでもマスクをつけて、会食の際は「静かなマスク会食」

感染リスクが高まる「5つの場面」

1. 飲酒を伴う懇親会等

(1) 飲酒の影響で気分が高揚すると同時に注意力が低下する。
また、聴覚が鈍麻し、大きな声になりやすい。

(2) 特に敷居等で区切られている狭い空間に、長時間、大人数が滞在すると、感染リスクが高まる。

(3) 回し飲みや箸等の共用が感染のリスクを高める。

2. 大人数や長時間に及ぶ飲食

(1) 長時間に及ぶ飲食、接待を伴う飲食、深夜のはしご酒では、短時間の食事に比べて、感染リスクが高まる。

(2) 大人数、例えば5人以上の飲食では、大声になり飛沫が飛びやすくなるため、感染リスクが高まる。

3. マスクなしでの会話場面

(1) マスクなしに近距離で会話をすることで、飛沫感染やマイクロ飛沫感染での感染リスクが高まる。

(2) マスクなしでの感染例としては、昼カラオケ等での事例が確認されている。

(3) 車やバスで移動する際の車中でも注意が必要。

4. 狭い空間での共同生活場面

(1) 狭い空間での共同生活は、長時間にわたり閉鎖空間が共有されるため、感染リスクが高まる。

(2) 寮の部屋、トイレ等の共用部分での感染が疑われる事例が報告されている。

5. 居場所の切り替わり

(1) 仕事での休憩時間に入った時等、居場所が切り替わると、気の緩みや環境の変化により、感染リスクが高まることがある。

(2) 休憩室、喫煙所、更衣室での感染が疑われる事例が確認されている。

感染リスクを下げながら会食を楽しむ工夫(利用者)

1. 飲酒をするのであれば、(1)少人数・短時間で、(2)なるべく普段一緒にいる人と、(3)深酒・はしご酒等はひかえ、適度な酒量で。

2. 箸やコップは使い回わさず、一人ひとりで。

3. 座の配置は、斜め向かいに。(正面や真横はなるべく避ける)
(食事の際に、正面や真横に座った場合には感染したが、斜め向かいに座った場合には感染しなかった報告事例あり)

4. 会話する時はなるべくマスク着用。
フェイスシールド・マウスシールドは、マスクに比べ効果が弱いことに留意が必要。
フェイスシールドは、もともとマスクと併用し眼からの飛沫感染防止のため、マウスシールドは、これまで一部産業界から使われてきたものである。
新型コロナウイルス感染防止効果については、今後さらなるエビデンスの蓄積が必要。

5. 換気が適切になされている等の工夫をしているガイドラインを遵守したお店で。
「従業員」に感染者が出たある飲食店で、「ガイドライン」を遵守していたため、(窓を開ける等の換気や、客同士の間隔も一定開けられていた)
「利用客」(100名超)からは、感染者が出なかったという事例あり。

(参考) 感染症防止対策ができているお店の例

従業員がマスク等を着用、手指消毒設備等を設置、こまめな消毒を実施、
対面を避けた配席、一定の間隔を確保、飛沫防止シートを設置、
料理は大皿でなく個々に、定期的な換気

6. 体調が悪い人は参加しない。

飲酒の場面も含め、全ての場面で
これからも引き続き守ってほしいこと(再掲)

1. 基本は、マスク着用、三密回避、室内では換気を良くする。
2. 集まりは、少人数・短時間にする。
3. 大声を出さず会話はできるだけ静かに行う。
4. 共用施設の清掃・消毒、手洗い・アルコール消毒等を徹底する。

以上について、安全衛生委員会等で話し合い再確認してください。
また、忘年会、年末年始の帰省等の是非等についても話し合ってください。

第1波や第2波に比べると、第3波は非常に深刻な状況で、感染の急拡大を防ぐには、「今が正念場」だと言われています。
感染症に「慣れ」て、タガが緩んでいることを個々人が自覚して、今まで以上に慎重に行動することが求められています。

臼井繁幸 産業保健相談員(労働衛生コンサルタント)

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