産業保健コラム

石戸谷 武 相談員

    • 産業医学
    • 前 聖カタリナ大学教授
      ■専門内容:心臓外科・循環器科・産業医学
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NOは(エヌ・オウ)と読みます

2021年02月


Nが窒素で、Oが酸素の元素記号です。即ちNOは「一酸化窒素」のことであります。
先日NHKの番組「ためしてガッテン」にこのNOのことが出ておりまして、我々の身体の中でNOは大層重要な役割を果たして居るということでした。
1970年頃の話になりますが、産業が盛んになると同時に生活の環境について、大気汚染が社会問題になり、その大本がNOx(窒素酸化物)で、これは自動車産業や化石燃料を使用する工場から排出されることが判明してきました。
つまりこれは、排出されるNO2が紫外線を受けることでNO+Oに分解され、これがもとで「光化学スモッグ」が引き起こされ、戸外での活動ができない状態が起こる様になりました。また窒素酸化物(NOx)が大気中の水蒸気と反応して「酸性雨」の原因ともなりました。この様にNOに対するイメージは良いものではありませんでした。さらに近年まで生体とは全く無縁なものであると考えられてきました。

それでは、NOは我々の身体の中ではどのような働きをし、また役目があるのでしょうか?
先ずNOは生体内で「アルギニン」と「酸素O」から合成されます。アルギニンは魚類、肉類、ナッツ、大豆、玄米、レーズン、えび、牛乳・・・・と天然にあるアミノ酸です。これとの合成からNOが出て、次のグアノシン・リン酸を合成し、これが色々な働きをすることになります。
即ち日常生活に関係あるものをあげると、

1)血管の平滑筋弛緩因子として
(血管壁は3層あり、筋肉細胞の層があり、緩むと血管が広がり血液量が増えます)
臨床経験で、狭心症に対してニトログリセリンや亜硝酸アミル(NOに変化する)が効くのは、心臓の血管の平滑筋を弛緩させ血流量が増すからです。また高血圧症心不全・脱毛症・男性機能不全に有効な薬物もみなNOの作用によります。

2)神経伝達物質として働く
(他の神経伝達物質と異なり、神経細胞と神経細胞の間でひろく影響を与える)
大脳の皮質や海馬や小脳に影響を与えます。海馬は特に記憶形成に関与しており、海馬が萎縮して働きが鈍ると認知症発症に大きく関係してきます。

3)感染を防御することに対する役割
病原体の種類を問わず、感染という病的状態にある場合、誘導型のNO合成酵素が出る。そして強力な抗菌活性を発揮します。と同時に半面その領域の細胞・組織を傷害する2面性もあります。

次にNOを生体内に増やすにはどうすれば良いか?・・・2つあります。

(1)タオルグリップ運動、有酸素運動、お風呂、マッサージなどで身体の血流が増すことでNOが生成されます。

(2)次のような食べ物でNOを出す酵素を活性化させることです。
青魚、緑茶、緑黄野菜、ピーナッツ、ブラックチョコレート,1杯のワインなどです。

以上の(1)も(2)も生活習慣病を予防するために注意することが必要な事柄でありまして、大切なことは両者とも継続することが大切です。

産業保健相談員 石戸谷 武(産業医学)

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