産業保健コラム

廣瀬 一郎 相談員

    • カウンセリング
    • カウンセリングルームこころの栞 主宰カウンセラー
      ■専門内容:カウンセリング全般
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己の傲慢さに気がつく

2021年04月


人は人、もの、金、情報、時間を支配する立場になると往々にして傲慢になる。しかし人はそれら5つを支配したがる。つまり支配は傲慢への王道と呼べる。傲慢は自分本位な歪んだ自由が味わえる。言わずもがなこれら5つは経営資源であり社会資源で身近に存在する。よって支配の対象としてすこぶる手近で明白な対象となり得る。ところが往々にしてそのような傲慢さや支配欲は様々な形でハラスメントを生み出す。親は子に対して虐待として、夫は妻にDVとして、クラスメートはいじめとして、上司や監督コーチは権力濫用により自分の思惑通りに支配しようとする。その結果顕著な現象として暴力、見下し、無視、暴言等のハラスメントとなりまたハラスメントは、さらに重大な結果(自傷他害行為)を生むハラスメントを呼び込みエスカレートさせる。己の傲慢さは他者の存在価値を無しにする正当な言い訳となる。例えば「あいつが何々した」から「あいつに気分を害された」から、だから自分の自由を侵害されたと思い込み、自分の攻撃を正当化し当たり前のようにハラスメントに陶酔してしまう。自分が迫害者になっているとは露とも思えないのである。

傲慢なこころは常に戒めなくてはならないが、しかし支配の誘惑は、なかなか御しがたいものなのである。服従させることは何ものにも変えがたい快感となるようである。せめて傲慢のわなにはまらないように日頃から自己理解を深め自分のこころをコントロールしたいものである。こころの中に何か良からぬ感情が芽生えたら誰かに話してみることをおすすめする。それと共に、この社会からハラスメントと呼ばれる言動が少しでも減っていくことを願っている。

産業保健相談員 廣瀬 一郎(カウンセリング)

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