産業保健コラム

田中 朋子 相談員

行動変容 ~停滞を乗り切る~

2017年06月

 新年度から、「さあ、やるぞ!」と心機一転して自らの課題に取り組んでいる方が多いと思います。最初は勢いがよかったけれど、徐々に元のパターンに戻ってしまうときがあります。この時期をどのように乗り切るか、について考えてみましょう。
 自分のこころのつぶやきはいかがでしょう?「どうせ無理…」「そんなことして何になるんだ…」など否定的な思いや反抗的な「なんで私が変えなきゃいけないの!」など、できない言い訳探しに陥っているのかもしれません。
 そんな時は原点に返って、目標を見直すのも一つの方法です。

1.目標は明確か、確認する
 どうしてもこれを手に入れよう!こうなるんだ!という確固たる信念を作ると困難にであっても乗り切るパワーが出てきます。目標について5つの視点で見直してみましょう。

(1)自分自身の成長に役立つ(他者のためでは何かがあると止める方向へ傾く)

(2)継続に値する目標である(目標を達成したときのイメージが明らか)

(3)自分の中のネガティブな声を封じ込めるもの

(4)喜びにつながる

(5)社会貢献(他者にも利益がある)

2.潜在意識にしっかりと根づかせる
 目標が潜在意識に届くと、自動操縦のように目標に必要な情報や機会が現れてきます。肯定的な文言を書き見えるところに貼る、朝晩声を出して宣言するなど、目標が身体にしみこむようにしては、いかがでしょう。
 わかる、できる、意味がある、

3.現状を分析する
 どんなところで停滞しているのか。感情的な部分が多々あります。たとえば、嫌になっている、飽きた、面倒くさい、そんなときは小さな変化(ポジティブ面)に敏感になりましょう。ネガティブな面には少し鈍感になることは何かを成し遂げるときに重要なことです。

4.ここで減量しようとしている例を見ていきましょう。

目標:体重を43kgにする(5kg減らす、ではなく目標の数字をはっきり明示する)

現状:2週間間食を止めているが、体重減少は1キログラム以下である(事実)

 さまざまなこころのつぶやきが聴こえてきます。どれを採用するかはあなた自身です。

・やっぱり減量なんて無理だ!(安易な決めつけ・自分を正当化しようとする・阻害要因)

・間食を止めたので体重は増えていない。この調子で続ければ減量に向かうだろう(肯定的推論)
さらに対策を増やすと減量に拍車がかかるのでは…(発展的推論)
興味関心が沸き起こる(促進要因) → できる(自己効力感)

◎ポジティブな変化に目を向けると、次の手を考えることができる

・日常の中でできることは何か?(積極的に対策を考える思考になっている)

・間食を止めるなんてとても難しいと思っていたが、案外平気である。

・他の人が食べていたり、目の前にあってもあまり気にならない(新たな自分発見)

◎意外な自分発見は、新たな未来につながる
 成功体験を連鎖させる(プラススパイラルを作り出す)

 以上のように、事実をどのように受け止めるかは一つの岐路といえるでしょう。
「あきらめてやめる → 負の強化」になるのか、やり続ける仕組みを構築していく訓練になるのか、あなた次第です。
 自分の内部の声をきくと、(1)いちゃもんや難癖をつける (2)「できたこと」を正当に認める (3)過剰に期待する など3つのタイプに分類できます。PDCAサイクルの視点でみると(1)も(3)も不適切となります。自分を必要以上に貶めたり、過信すると自分の内から自滅していきますので、事実をありのままに認め対応するようにしましょう。

 変化を実際に体で感じる、五感に落とし込むと記憶に残ります。体重はあまり減っていないが、歩く足取りが軽い、腰軽く動いている自分にきづく、頭がすっきりしている、明るい気分でいることが多い、など。できるだけ身体の感覚、感情、思考、行動等多くの刺激から統合して記憶に留めると、セルフコントロールによりいつでも自分をベストの状態にもっていくことができます。

“愚者は体験(自分のミス)に学び、賢者は歴史(他人のミス)に学ぶ”
「なぜかミスをしない人の思考法」中尾政之著より

 「さあ、やるぞ!」で果敢に取り組んでいるけれど先細りになっている方も、もう一度、目標を達成した姿をイメージし、「わたしはできる、やる!」と自己効力感を高め体験を活かしてください。

産業保健相談員 田中 朋子
(保健師、プラクティスド・コンサルティング・カウンセラー、メンタルヘルス対策促進員)

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