2025年12月
近年、地域貢献活動、社会貢献活動、自然・環境保護活動、災害復興支援活動などのボランティア活動への関心が高まっています。
通勤時の車窓から道路沿いの花壇の植え替えをしている老人会の方々の姿が見えました。
チューリップ、スミレ、水仙と季節の花を見ることができ、こころ和ませてくれます。また、定期的に会社周辺の道路の清掃をしている方々、早朝に海岸を散歩すると打ち上げられたゴミや空き缶を集めている人がいます。「いつもありがとうございます」と胸の内でお礼を言います。地域で清掃ボランティアの日を決めていたり、海開きを前に小中学生も一緒に行う海岸清掃、幼児や低学年児を中心に読み聞かせをしているボランティア、子ども食堂、高齢者施設のお花見や七夕、クリスマス会など、イベント時のボランティア、夏の盆踊り大会の夜店もPTAのボランティア活動です。
私たちの生活はこうした多くのボランティアの方々の力を借りて成り立っています。
ここで一つのボランティアグループを紹介します。「がんセンター 病院ボランティアグループふれ愛」です。病院ボランティア協会というのがあり、全国の多くの病院で、その病院ならではの活動をしています。
コロナ禍の影響で、感染予防の観点から病院ボランティアは活動を休止せざるを得ない状態が3年ほど続きましたが、やがてコロナ感染症終息の兆しが見えてくるにつれ、徐々に活動を再開していき、現在に至っています。
外来に来られた方へ車いすやカートをお出しする「ガイドボランティア」。心細い思いで入院の荷物を持って来院された時などは、ガイドボランティアの人に出会うとホッとします。一人ではない、頑張れ!と言ってくれる他者の存在に癒されるのです。また、病棟への「移動図書貸し出し」、病により入院を余儀なくされたとき、治療で頭がいっぱいの時、外からの風に気持ちがふっと軽くなります。「普通の生活」をしていいんだ、病はあるけれど、病人ではなく、普通の人でいいんだ、医師や看護師等、医療関係者以外の方との交流、社会とのつながりを思い出し、勇気が出ます。会員以外からのケア帽子(抗がん剤の副作用で脱毛がみられる)や栞、クリスマスリースなどの寄付をされる方もいらっしゃいます。多くの名も知らない方々の応援が有難い、としみじみ感じ、自分の命について考える時間を頂きます。
平日の活動なので、参加する時間がないなどの時間的制約もあるでしょうが、年次有給 休暇の取得促進とともに、従業員が積極的にボランティア活動に参加できるよう、「ボランティア休暇制度」の導入を推進して頂きたいものです。ボランティア休暇を取り入れている企業にボランティア休暇制度を導入した背景をお尋ねしました。社会課題の解決に関心が高い従業員が多く、会社としても従業員が社会貢献活動を行うことが通常の業務では得られない経験が獲得できると考えたそうです。幅広いボランティア活動のために、半日単位で取得できる休暇制度を導入。制度利用者の声として、農業ボランティアに参加された方は新たなつながりが感じられた、心地よい汗をかき、食べ物を大事にするようになった、そうです。また、他企業からの参加者とも交流ができ、仕事の枠を超えたつながりをもてた等、前向きな感想が寄せられています。
その他、社会の役に立ちたいと思い参加、達成感や満足感が得られた、社会問題の解決に関われた、ものの見方や考え方が広がった、コミュニケーション能力が高まった、自己啓発や自らの成長につながる等、様々な効果を感じています。会社人生だけでなく、交友関係が広がり、新たな強みを発見するなど、定年後の生き方にも影響を与えています。
全国的には、企業の社会的責任としてとらえ、ボランティア活動を支援する企業が増えています。ぜひ、社外へ視野を広げてみてください。社員に活力がみなぎると、生産性もアップしていきます。
産業保健相談員 田中 朋子(保健師)
メンタルヘルスに関する様々なサポートについてのサイトです