2018年2月14日
第3期特定健診等実施計画期間(2018~2023年度)では、糖尿病等の重症化予防等を推進する観点から、特定健康診査に詳細な健診項目として血糖クレアチニン検査が追加され、問診項目に歯の状態に関する質問が追加されました。また、厚生労働省では、特定健診・保健指導の実施率を2017年度実績から保険者別に公表することとなりました。
労働者の健康管理と糖尿病等の重症化予防を着実に進めていくためには、事業者から保険者に定期健康診断の結果を迅速かつ確実に情報提供することが必須であり、事業者と保険者が一体となって取組を進めていく必要があります。このため、厚生労働省では、事業者から保険者に協力いただく必要がある事項について、別紙のとおり整理しましたので、その趣旨をご理解の上、保険者と緊密に連携して労働者の健康管理に取り組みいただくようお願い申し上げます。
なお、別紙の内容につきましては、平成30年2月5日付け基発0205第1号及び保発0205第1号にて、厚生労働省労働基準局長及び厚生労働省保険局長から通知されたもので、平成30年4月1日から適用されます。
・ 愛媛労発基0213第5号
・ 平成30年2月13日
関係事業者団体の長 殿
・ 愛媛労働局長
・ 特定健康診査等の実施に関する協力依頼について
厚生労働行政の推進につきまして、日頃より格別のご協力を賜り、御礼申し上げます。
医療保険制度では、糖尿病をはじめとする生活習慣病の発症・重症化を予防し、医療費を適正化するため、保険者が法定義務の保健事業として、特定健康診査及び特定保健指導を行っております。高齢者の医療の確保に関する法律では、労働安全衛生法その他の法令に基づく健康診断を受診した者については、その結果を保険者が受領することにより、特定健康診査の全部又は一部を行ったものとすることとされ、また保険者から健康診断の記録の写しの提供を求められた事業者は、その記録の写しを保険者に提供しなければならないとされています。
第3期特定健診等実施計画期間(2018~2023年度)では、糖尿病等の重症化予防等を推進する観点から、特定健康診査に詳細な健診項目として血糖クレアチニン検査が追加され、問診項目に歯の状態に関する質問が追加されました。また、厚生労働省では、特定健診・保健指導の実施率を2017年度実績から保険者別に公表することとなりました。
労働者の健康管理と糖尿病等の重症化予防を着実に進めていくためには、事業者から保険者に定期健康診断の結果を迅速かつ確実に情報提供することが必須であり、事業者と保険者が一体となって取組を進めていく必要があります。このため、厚生労働省では、事業者から保険者に協力いただく必要がある事項について、別紙のとおり整理しましたので、その趣旨をご理解の上、保険者と緊密に連携して労働者の健康管理に取り組みいただくようお願い申し上げます。
なお、別紙の内容につきましては、平成30年2月5日付け基発0205第1号及び保発0205第1号にて、厚生労働省労働基準局長及び厚生労働省保険局長から通知されたもので、平成30年4月1日から適用されます。これに伴い、平成20年1月17日付け基発0117001号・保発0117003号「特定健康診査等の実施に関する協力依頼について(依頼)」及び平成24年5月9日付け基発0509第6号・保発0509第4号「特定健康診査等の実施に関する再協力依頼について(依頼)」は、平成30年3月31日をもって廃止されますので、お知らせいたします。
(別紙)
特定健康診査等の実施に係る事業者と保険者の連携・協力事項について
1.定期健康診断結果の情報提供等の事業者と保険者の連携の基本的な考え方
保険者は、糖尿病をはじめとする生活習慣病の発症・重症化を予防し、医療費を適正化するため、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号。以下「高確法」という。)に基づく法定義務の保健事業として、特定健康診査及び特定保健指導を行っている。事業者は健康保険料の一部を負担し、保険者の運営に関わっている。保険者が特定健診・保健指導等の保健事業を的確に実施し、医療費適正化に取り組むとともに、制度間の健診の重複を避けるためには、事業者と保険者が緊密に連携し、定期健康診断の結果を事業者から保険者に迅速かつ確実に情報提供する必要がある。
このため、高確法では、労働者が労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「安衛法」という。)その他の法令に基づき行われる特定健康診査に相当する健康診断を受診した場合は、特定健康診査の全部又は一部を行ったものとし、保険者から健康診断に関する記録の写しの提供を求められた事業者は、その記録の写しを提供しなければならないとされている。
第3期特定健診等実施計画期間(2018~2023年度)では、糖尿病等の重症化予防等を推進する観点から、特定健康診査に血清クレアチニン検査が追加され、問診項目に歯の状態に関する質問が追加された。また、厚生労働省では、特定健診・保健指導の実施率を2017年度実績から保険者別に公表する。
安衛法に基づく定期健康診断の実施は、事業者の義務である。労働者の健康管理と糖尿病等の重症化予防を着実に進めていくためには、事業者において定期健康診断を適切に実施するとともに事業者から保険者に定期健康診断の結果を迅速かつ確実に情報提供することが必須であり、事業者と保険者が一体となって取組を進めていく必要がある。
2.定期健康診断における特定健康診査に相当する項目の実施と情報提供
①服薬歴・喫煙歴の聴取の実施と保険者への情報提供
特定健康診査では、既往歴の聴取において服薬歴(※1)及び喫煙習慣を聴取することとしている(※2)。労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)に規定する定期健康診断では、既往歴の調査項目に服薬歴及び喫煙歴が位置づけられていないが、事業者と保険者が緊密に連携して労働者の健康増進に取り組む必要があり、服薬歴及び喫煙歴の有無は特定保健指導の対象者の抽出に不可欠な調査項目であること、定期健康診断では従来からこれらを聴取している場合が多いことから、定期健康診断において引き続き聴取を実施し、その結果を保険者に提供いただきたい。
労働安全衛生規則に基づく健康診断結果個人票に服薬歴及び喫煙歴の有無が記載されていない場合でも、事業者がこれらに関する情報を定期健康診断の問診等により把握している場合には、健康診断結果個人票の写しと併せて、その結果を保険者に提供いただきたい。
また、定期健康診断時に服薬歴及び喫煙歴について聴取を行わなかった場合は、保険者が労働者個人に対して直接に聴取を行う可能性がある旨周知いただきたい。
なお、事業者が保険者からの求めに応じて、高確法及び関係法令に定める項目(別表参照)に対応する健診の記録の写しを提供することは、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「個人情報保護法」という。)第23条第1項第1号の「法令に基づく場合」に該当し、第三者提供に係る本人の同意は不要である(※3)。
(※1)服薬歴については、血圧を下げる薬、血糖を下げる薬又はインスリン注射、コレステロールや中性脂肪を下げる薬の使用の有無について聴取することとしている。
(※2)第3期特定健診等実施計画期間における服薬歴及び喫煙歴に関する標準的な問診内容は「標準的な健診・保健指導プログラム(平成30年度版)」第2編別紙3の標準的な質問票を参照のこと。
(※3)健康保険法では、全国健康保険協会及び健康保険組合の役職員又はこれらの職にあった者は健康保険事業に関して職務上知り得た秘密を正当な理由なく漏らしてはならないこととされ、これに違反して秘密を漏らした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処することとされている。
②特定健康診査の質問票の各項目の聴取の実施と保険者への情報提供
特定健康診査の質問票の各項目は、服薬歴及び喫煙歴以外の項目も、特定保健指導の際に重要な情報であり、事業者と保険者が連携して労働者の健康管理と糖尿病等の重症化予防を推進する観点から、定期健康診断時に聴取を実施するように協力いただきたい。また、これらの聴取を実施した場合には、健康診断結果個人票の写しと併せて、保険者に情報提供いただきたい。
特に、第3期特定健診等実施計画期間から、特定健康診査の質問票に歯の状態(食事をかんで食べる時の状態)に関する質問が追加され、歯科の保健指導及び受診勧奨等に活用される。このため、事業者では、定期健康診断時に歯の状態に関する質問の聴取を適切に実施し、その結果を情報提供いただきたい。
なお、特定健康診査の質問票の全ての項目(服薬歴及び喫煙歴以外の項目を含む。)は、高確法及び関係法令上は特定健康診査に位置づけられているので、保険者からの提供の求めに応じて事業者が記録の写しを提供することは、個人情報保護法第23条第1項第1号の「法令に基づく場合」に該当し、第三者提供に係る本人の同意は不要である。
③血糖検査の留意事項と保険者への情報提供
特定健康診査では、特定保健指導の対象者の選定のために必要な項目として、空腹時血糖、ヘモグロビン A1c 又はやむを得ない場合に随時血糖検査を実施することとしている。他方、定期健康診断では、空腹時血糖又は随時血糖を健康診断項目としており、ヘモグロビン A1cは医師が必要と認めた場合に同一検体等を利用して実施することが望ましい検査項目としている。
事業者では、定期健康診断において随時血糖のみの測定とならざるを得ない場合には、高確法に基づき保険者に測定結果を情報提供する際に、当該測定結果が随時血糖によるものであって、食事開始から採血までの時間を測定結果に明示することについて、あらかじめ健診実施機関に依頼するなど協力いただきたい。
なお、血糖検査は原則空腹時に行われるべきではあるが、やむを得ず食事摂取後に行われる場合で、検査値を特定健康診査に活用するときは、食直後の採血(特定健康診査では食直後の採血は食事開始から3.5時間未満の採血としている。)は避けることが必要である。
3.定期健康診断等の結果の保険者への情報提供の方法等
①電子的な標準記録様式による提出について
安衛法では、事業者は、電磁的方法による記録の保存を義務付けられていない。他方、高確法及び関係法令では、保険者は、特定健康診査等の結果を電磁的方法により保存しなければならないこと、電磁的方法による記録を作成、保存及び提出できる機関に委託できることとしている。
このため、事業者から保険者への健診結果の情報提供にあたっては、保険者と事業者で協議・調整いただき、厚生労働省ホームページで示す電子的な標準記録様式(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000165280.html)による方法やその他適切な方法により、保存している健診結果の写しを提出いただきたい。
(※)電子的な標準記録様式による結果提出が可能な健診実施機関等:社会保険診療報酬支払基金の特定健診等機関基本情報リスト(http://www.ssk.or.jp/kikankensaku/index.html)や国立保健医療科学院の特定健康診査機関・特定保健指導機関データベース (https://kenshin-db.niph.go.jp/kenshin/)を参照いただきたい。
②特定健康診査に含まれない検査項目の取扱い
事業者が行う各種健(検)診の検査項目のうち、特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準(平成19年厚生労働省令第157号。以下「実施基準」という。)第2条に定める項目に含まれないもの(※1)であって、保険者において保健事業の実施に必要な項目は、事業者が定期健康診断時に、労働者に対し定期健康診断の結果の情報を保険者に提供する旨を明示し、本人の同意を得ることで(※2)、特定健康診査に含まれない項目の結果も含めて、保険者に情報提供できる。
このような中で、事業者では、保険者による的確な保健事業の実施の観点から、保険者の求めに応じて、労働者の同意を得た上で、保険者へ健康診断の結果を提供することについて、協力いただきたい。また、保険者は、上記の本人同意を得る方法により受領した定期健康診断結果のうち、保健事業の実施に必要な検査項目の結果以外は廃棄するなど、個人情報保護に十分配慮した取扱いを行う必要がある。
なお、保険者は、事業者から定期健康診断の実施についての委託を受ける、又は事業者と共同で定期健康診断を実施することにより、実施基準第2条に定める項目以外の記録について、保険者の保健事業の実施に必要な範囲において利用できる。この場合、保険者が保健事業の実施に記録を利用することは、事業者から保険者への個人情報の第三者提供には該当しないが(※3)、保険者では、上記同様に、保健事業の実施に必要な検査項目の結果以外は廃棄するなど、個人情報保護に十分に配慮して取り扱う必要がある。
(※1)事業者が保存している健康診断の記録のうち、実施基準第2条に定める項目に含まれないものは、業務歴、視力、聴力、胸部エックス線検査、喀痰検査やがん検診等の記録である(実施基準第2条に定める項目は、別表参照)。
(※2)「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(平成28年11月個人情報保護委員会)では、本人の同意は「事業の性質及び個人情報の取扱状況に応じ、本人が同意に係る判断を行うために必要と考えられる合理的かつ適切な方法によらなければならない」とされており、同意の取得は、保険者への情報提供に関する説明や本人同意が確認できるチェック欄などを問診票や添付の説明資料等により説明し、同意を取得する方法が考えられる。
(※3)事業者と保険者が共同で定期健康診断や事後指導を実施する場合など、データの共同利用における個人情報の取扱いについては、「健康保険組合等における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(平成29年4月個人情報保護委員会、厚生労働省)Ⅲの5の(4)において、以下のとおり留意事項を整理している。
(※)個人データの共同での利用における留意事項
健保組合と労働安全衛生法に規定する事業者が共同で健康診断を実施している場合又は共同で健診結果を用いて事後指導を実施している場合など、あらかじめ個人データを特定の者との間で共同して利用することが予定されている場合、(ア)共同して利用される個人データの項目、(イ)共同利用者の範囲(個別列挙されているか、本人から見てその範囲が明確となるように特定されている必要がある)、(ウ)利用する者の利用目的、(エ)当該個人データの管理について責任を有する者の氏名又は名称、をあらかじめ本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態においておくとともに、共同して利用することを明らかにしている場合には、当該共同利用者は第三者に該当しない。
この場合、(ア)、(イ)については変更することができず、(ウ)、(エ)については、本人が想定することが困難でない範囲内で変更することができ、変更前、本人に通知又は本人の容易に知り得る状態におかなければならない。
なお、共同利用でない場合は、健康保険組合と労働安全衛生法に規定する事業者は、異なる主体となるため、それらが健診結果を共有するに当たっては、被保険者又は労働者の同意を要することとなる。
③その他定期健康診断の結果の情報提供に関する必要な取決め等
定期健康診断の結果の情報提供に関する必要な取決め等は、事業者と保険者との間で、双方が納得できる方法及び形態等を十分に協議し、必要に応じて契約等を締結するなど、円滑な連携を確保いただくよう協力いただきたい。
事業者が保険者への提供のみを目的として定期健康診断の結果を作成又は送付する場合は、それに要した費用を保険者に請求することは差し支えない。
4.特定保健指導の円滑な実施の確保
①就業時間中における特定保健指導の実施等
特定保健指導は、保険者に実施義務を課し、労働者個人の意思により利用されるものであって、業務遂行との関連において行われるものではないことから、その受診に要した時間の賃金を事業者が負担する義務を負うものではない。
しかしながら、特定保健指導等を受けるための機会の拡充や実施率の向上は、労働者の健康の保持増進につながり、医療費適正化等を通じて事業者の保険料負担にも関係することから、事業者におかれては、就業時間中の特定保健指導に要した時間の賃金等の取扱いについて、特段の配慮をいただき、協力いただきたい。
なお、就業時間中における特定保健指導の実施の配慮は、実施率の向上において重要な要素であるので、保険者と事業者の連携の取組をインセンティブで評価する項目の一つに位置づけられている。
②事業者が実施する保健指導と併せて特定保健指導を実施する場合の費用負担
事業者が定期健康診断等の実施後の保健指導と併せて特定保健指導も行う場合、特定保健指導の費用として事業者が保険者に請求できる範囲は、その趣旨及び法定の実施内容にかんがみ特定保健指導とみなすことができる部分に限られ、明確な区分けに基づく費用の算定が求められる。
こ のため、事業者と保険者との間で事前に十分な協議・調整を行い、円滑な実施を確保いただきたい。その際、事業者が実施する保健指導と特定保健指導との棲み分けや一体実施の方法等について、具体的に整理しておく必要があることに留意いただきたい。
5.被保険者及び被扶養者の住所情報の保険者への情報提供
被保険者及び被扶養者(以下「被保険者等」という。)の住所情報は、保険者が円滑に特定健康診査をはじめとする保健事業を行う上で重要な情報であるほか、平成29年11月から本格運用が開始された個人番号を活用した情報連携事務においては、被保険者等が居住する市町村を特定した上で、該当の市町村に情報照会を行うなど、近年、保険者が被保険者等に係る住所情報を把握・管理することの重要性が高まっている。
この点、健康保険法施行規則(大正15年内務省令第36号)においては、被保険者は、その住所を変更したときは、原則として、速やかに、変更後の住所を事業主に申し出なければならないこととされており、当該申出を受けた事業主は、遅滞なく住所変更の届書を厚生労働大臣(日本年金機構を経由して提出する。)又は健康保険組合(以下「厚生労働大臣等」という。)に提出しなければならないこととされている。また、被扶養者についても、その住所に変更があった場合には、被保険者はその都度、事業主を経由して厚生労働大臣等に届け出なければならないこととされている。
労働者やその家族等の住所に変更があった場合には、保険者が被保険者等の住所を把握・管理できるよう、これらの規定に基づく届出を行われたい。
※「特定健康診査等の実施に係る事業者と保険者の連携・協力事項について」は、こちらをご覧ください。【厚生労働省】
※「過去の特定健康診査等の実施に関する協力依頼についての通知」は、こちらをご覧ください。【厚生労働省】
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