2018年2月28日
【自殺対策強化月間とは】
厚生労働省は、最近の自殺をめぐる厳しい情勢を踏まえ、様々な悩みや問題を抱えた人々に届く「当事者本位」の施策の展開ができるよう、政府全体の意識を改革し、一丸となって自殺対策の緊急的な強化を図るため、自殺総合対策会議において、「いのちを守る自殺対策緊急プラン」を決定し、例年、月別自殺者数の最も多い3月を「自殺対策強化月間」と定めました。
自殺対策強化月間では、地方公共団体、関係団体等とも連携して、重点的に広報啓発活動を展開するとともに、関係施策を強力に推進するため、経済団体、労働団体、関係する職能団体、当事者等の団体及び支援団体、関係する学会、直接自殺対策に関係する活動を行っている団体以外の、広い意味での自殺対策に資する活動を展開している団体及び自殺対策に関する普及啓発事業等に協力することのできる全国組織・体制を有する団体等、できる限り幅広い団体からの協賛を得て、当事者が支援を求めやすい環境を作るための「生きる支援」として展開することとしています。
平成 29 年度「自殺対策強化月間」実施要綱
1 趣旨
自殺対策基本法(平成 18 年法律第 85 号。以下「基本法」という。)では、3月を自殺対策強化月間と位置付け、国及び地方公共団体は、自殺対策を集中的に展開するものとし、関係機関及び関係団体と相互に連携協力を図りながら、相談事業その他それにふさわしい事業を実施するよう努めるものとすることとされています。また、平成 29 年7月 25 日に閣議決定した、新たな「自殺総合対策大綱」(以下「大綱」という。)では、自殺対策強化月間において、国、地方公共団体、関係団体及び民間団体等が連携して「いのち支える自殺対策」という理念を前面に打ち出して啓発活動を推進し、あわせて、啓発事業によって援助を求めるに至った悩みを抱えた人が必要な支援を受けられるよう、支援策を重点的に実施することとされています。
基本法及び大綱に掲げる「誰も自殺に追い込まれることのない社会」の実現に向け、平成 29 年度の自殺対策強化月間においては、国、地方公共団体、関係団体及び民間団体等が一体となって、悩んでいる人が支えられ、つながることができる社会を目指し、各種相談事業等を積極的に実施するほか、周囲の人に寄り添える「ゲートキーパー」の行動、役割の普及を重点的に実施します。
また、「座間市における事件の再発防止に関する関係閣僚会議」において平成 29 年12 月 19 日に取りまとめられた「座間市における事件の再発防止策について」に基づく取組を迅速に進めることとします。
2 実施期間
平成 30 年3月1日(木)から同月 31 日(土)までの1か月間
3 実施体制
(1)関係省庁等
厚生労働省、警察庁、金融庁、消費者庁、復興庁、総務省、法務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省及び地方公共団体
(2)協賛団体
別紙のとおり(省略)
4 実施に当たっての基本方針
(1)様々な主体との連携・協力の推進
社会全体で自殺の危険性を低下させる取組を推進する観点から、経済団体、労働団体、職能団体、自殺者の親族等の団体及び支援団体、並びに関係する学会等から、できる限り多くの幅広い協力を得ることとします。
特に、自殺の背景には多様な要因があることを踏まえ、支援を必要としている人に適切に対処できるよう、こうした様々な主体が有機的に連携・協力して相談支援事業と関係施策との効果的な連動を図る等、自殺対策を集中的に実施します。
(2)国民一人ひとりへの呼び掛け
自殺の問題は一部の人や地域だけの問題ではなく、国民誰もが当事者となり得る重大な問題であることについて国民の理解の促進を図る必要があり、自殺に対する誤った認識や偏見を払拭し、命や暮らしの危機に陥った場合には誰かに援助を求めることが適当であるということの理解を促進することを通じて、自殺対策における国民一人ひとりの役割等についての意識が共有されるよう、幅広く国民一人ひとりに対して呼び掛けを行います。
(3)効果的かつ適切な広報手法
国、地方公共団体、関係団体及び民間団体等が連携し、全ての国民を対象にした、分かりやすく、具体的な自殺対策キャンペーンを実施します。
なお、その際にロゴマーク「いのち支える」の積極的な活用に努めます。
5 主な実施事項
(1)相談支援事業の実施
ア 厚生労働省において、広く若者一般を対象とした「SNSによる相談事業」を開始します。
イ 自殺対策強化月間中に相談支援事業を集中的に実施するよう幅広く呼び掛けます。
ウ 支援を必要としている人が確実に適切な相談支援事業の情報を得ることができるよう、厚生労働省の「支援情報検索サイト」(http://shienjoho.go.jp/)への情報集約を行い、周知を図ります。
エ 厚生労働省は、都道府県及び政令指定都市に対して、「こころの健康相談統一ダイヤル」(0570-064-556)の相談の実施日や受付時間の延長等の拡充を呼び掛けます。
オ 厚生労働省において、生きにくさ、暮らしにくさを抱える方々の具体的な問題解決につなげることを目的に電話相談を実施している「よりそいホットライン」(被災3県以外 0120-279-338、被災3県 0120-279-226、FAX 番号 03-3868-3811)の連絡先の周知を行います。
カ よりそいホットラインやこころの健康相談統一ダイヤルについて、広く周知を進めることにより、国民の約3人に2人以上が当該相談電話について聞いたことがあるようにすることを目指します。
(2)広報啓発事業の実施
ア 厚生労働省においては、ポスター、インターネット等様々な媒体を活用した広報事業を実施します。若年層にも訴求するため、若年層の利用率が高いインターネット(スマートフォン、携帯電話等を含む。)やSNSを活用した広報を重点的に展開します。
イ 関係省庁、地方公共団体、関係団体及び民間団体等に対して、厚生労働省における広報とも連動した効果的な広報の実施を呼び掛けます。
ウ 「ゲートキーパー」としての役割が期待される団体等に対して、「ゲートキーパー」の養成のための取組等を行うよう呼び掛けます。
エ 国民一人ひとりにおける学びをはじめ、教育の現場での活用や様々な主体が行う啓発事業の取組に資するよう、厚生労働省ホームページにおいて提供している、「ゲートキーパー」養成用の様々な資料等を周知します。
オ 厚生労働省は、「ゲートキーパー」の行動を周知するために、歌詞を募集し新たに制作、都道府県及び政令指定都市の自殺対策担当課(室)へ配布した「ゲートキーパーソング『空の青いとり』」のCDや、「Yahoo!特別企画ページ」に掲載される同曲の活用を市町村等に促し、「ゲートキーパー」の普及を目指します。
(3)座間市における事件の再発防止策に関連する取組
上記(1)(2)に加え、関係省庁は、平成 29 年度「自殺対策強化月間」において、以下の「座間市における事件の再発防止策」について、迅速に取り組みます。
ア 厚生労働省は、以下の施策により、SNS等に対応した相談窓口への誘導を強化します。
・ 厚生労働省ホームページにおいて、メールやSNSに対応した相談窓口を含め、幅広い相談窓口を紹介します。
・ 自殺につながる用語の検索を行った場合において、相談窓口を表示する取組を強化すること等に関し、事業者に対して必要な要請を行います。
・ スマートフォンにおいて、個々の若者の悩みに適した相談窓口を検索して絞り込むことを可能にする取組を推進します。
さらに、厚生労働省は、以下の施策により相談対応を強化します。
・ IP電話に対応した公的な相談窓口の設定について検討を行い、速やかに実施に移します。
イ 警察庁は、以下の施策により、事件の再発防止に取り組みます。
・ 事業者による、自殺に関する不適切な書き込みの自主的な削除等の取組に協力します。
・ 人を自殺に誘引・勧誘する情報等について、サイバーパトロール業務を民間団体に委託して、的確な発見に努めるとともに、インターネット・ホットラインセンターによるサイト管理者等への削除依頼活動を支援します。
・ インターネット・ホットラインセンター及び違法・有害情報相談センターの連携を図り、両センターにおける適切な対応を強化します。
・ 都道府県警察やサイバー防犯ボランティア団体による、SNSの利用等に起因する犯罪被害の防止に向けた広報啓発活動を推進するとともに、同活動等を通じてSNSの利用規約等の遵守に関する注意喚起を行います。
ウ 総務省は、以下の施策により、SNS等における自殺に関する不適切な書込みへの対応を強化します。
・ 人を自殺に誘引・勧誘する情報等の書込みの禁止を利用規約等に明記することに関する事業者への要請について、引き続きフォローアップを実施します。
・ e-ネットキャラバンを中心とした青少年のSNSを含むインターネットの適切な利用に関する普及啓発活動を実施します。
さらに、総務省は、以下の施策により相談窓口への誘導を強化します。
・ 自殺につながる用語の検索を行った場合において、相談窓口を表示する取組を強化すること等に関し、関係省庁と連携して事業者に対して必要な要請を行います。
エ 法務省は、以下の施策により、相談窓口への誘導の強化並びにフィルタリングの利用促進及びインターネットリテラシーの向上に重点を置いた人権啓発活動を行います。
・ 自殺願望を表す用語が検索された場合等に,インターネット人権相談受付窓口等を案内するホームページにリンクするインターネット広告を掲出し,若者を効果的に相談窓口につなげる支援の促進を行います。
・ 無料通信アプリ等を使用したいじめやリベンジポルノの問題などを盛り込んだ啓発冊子を活用した人権啓発活動を実施するとともに,この取組について法務省ホームページを用いる等して周知広報します。
オ 文部科学省は、平成 29 年度補正予算案及び 30 年度予算案の成立後、各地方公共団体においてSNSを活用した相談体制の構築事業の開始ができるよう、必要な準備を整えます。
また、児童・生徒がインターネットを安全に利用できるように、学校における情報モラル教育の充実を図ります。
カ 経済産業省は、以下の施策について迅速に取り組みます。
・ SNS事業者や検索事業者による、違法・有害情報の削除の強化及び適切な窓口につなぐ取組を推進します。
・ 関係省庁と連携し、教職員に対し、インターネット安全教室への参加を促します。
・ 関係省庁と連携し、教育委員会の研修等にインターネット安全教室の講師を派遣しつつ、研修資料を刷新し、インターネットの安全利用に関するリテラシー向上の取組を推進します。
・ 「あんしんネット冬休み・新学期一斉緊急行動」における、関係団体・関係事業者によるインターネットの安全利用に関する普及啓発活動を推進します。
(4)関係団体及び民間団体等からの協力の拡大と連携の強化
幅広い団体に対して呼び掛けを行い、新たな団体等からの協力の拡大を目指すとともに、これまでも協力を得てきた団体との更なる連携の強化を図ります。
(5)関係省庁等における趣旨の徹底
関係省庁等は、対外的な啓発事業等の実施のみならず、全ての所属職員に対しても本月間の趣旨等を周知徹底します。
※自殺対策については、こちらをご覧ください。【厚生労働省】
※Yahoo!特別企画ページ(自殺対策強化月間)は、こちらをご覧ください。
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