2021年1月15日
この度、愛媛県内の各事業場とがん診療連携拠点病院による両立支援の取り組み状況を調べましたのでご報告申し上げます。アンケートの回答を頂きました事業場、がん診療連携拠点病院におかれましては、ご協力ありがとうございました。また、アンケートの同封に御協力頂きました愛媛労働局に深く感謝申し上げます。
一般事業場向けアンケートは、県内約450事業場に配布し、93事業場から回答を頂きました。そのうち、両立支援の取り組みをしている事業場は約80%と高い結果となりました。皆さんもご存知の通り、日本の就労世代人口は今後50年でほぼ半減すると見込まれています。シニアと女性が働かないと成り立たない状況になりつつあり、人生の中で働く年数が増えるとともに、また医療の進歩とともに、病気を抱えて働く患者の割合も増加し、労働者への対応が問われる時代となっています。実際、今回の結果でも、過去3年間に長期の治療が必要となる従業員がいましたかの問いに約70%の事業場がはいと回答しています。
今年度も各事業場を訪問しておりますが、労務管理担当者様のお話しを聞いていると、このケースは両立支援を介入すれば退職せずに済んだのかもしれない…、もう少し早く訪問していれば…と悔やむこともありました。アンケートを見ると、傷病休暇や病気休暇等の就業規則の工夫や、復職に向けたフォロー体制が多くの事業場で整備されていることが分かります。しかし一方で、研修等による両立支援の意識啓発活動はほとんどの事業場で実施されておりません。ある統計結果では、がんと診断された後に40%の人が離職しており、そのうち、就労に関して誰にも相談していない人は40%。その主な理由としては、「相談相手がいなかった」「相談する発想 がなかった」ことが挙げられております。治療と仕事の両立支援は、労働者からの申し出から始まります。まずは、うちの会社は病気になっても働けるぞ!と労働者の皆様に意識付けして頂くことが非常に重要です。そのためにも、ぜひセミナーや周知資料を活用して、両立支援を活用しやすい風土作りに積極的に取り組んでほしいと思います。
私は以前、看護師として病棟勤務をしておりましたが、常にチーム医療を意識して行動しておりました。各分野の知識や技術を生かして、意見を交換しながら患者の置かれている状況を分析し、治療とサポートを進めていました。産業保健専門職として両立支援の取組に携わってまだ数か月ですが、ここでもチームでの支援が非常に重要であると実感しております。会社の上司、労務管理担当者、産業医、産業保健師、病院の医師、看護師、MSW、そして当センターの両立支援促進員などが一つのチームのように情報共有、連携し、労働者・患者が再び働けるようサポートしていける体制作りができればと思っています。今回のアンケートでは、両立支援を行う上での取り組み上の大きな課題について、「人的余裕がない」が一番に挙がっていました。ぜひ、両立支援はチームとして取組むものであると意識して頂き、まずは当センターや病院の相談窓口などのチームメンバーに声をかけて頂き、一緒にサポートさせて頂ければと思います。
今回の愛媛県内の各事業場向けアンケート結果や、がん診療連携拠点病院による両立支援の取り組み状況についてのアンケート結果については下記PDFを御覧下さい。
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