2023年06月
健康であることは、人が充実した一生を生き抜くためにはとても重要な条件の一つとなります。ただその健康度や健康の質にはそれぞれの考えの相違があるとは思います。
カウンセラーとして、わたしたちの心身の健康を考える際、「健康とは、完全な 肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない‥‥‥‥(以降の文省略)」つまり単に病気でなければ健康であるとは言えないという、世界保健機関(WHO)憲章による健康の定義が、私の健康観の一つとなっています。
ここでいう”健康である”という枠組の中には、生理的健康、心理的健康、社会的健康、これら三つの健康が含まれています。ここでは、”100年人生を生きるためのこころの健康(心理的・社会的に健康)”に焦点を当ててお話をしますが、からだとこころと環境は、切り離せない密接に連動した関係であることを頭に留め置いていただきたいと思います。
こころの健康状態は、”自己受容(自分の良いところも、そうでないところも全て受け容れる)”と”自己肯定感(自分のありのまま、あるがままを認める)”に依拠します。因みに一つの例として私自身の健康観は「自分らしく生きる」という言葉に集約されます。つまり自分自身のセルフアイデンティティー〈自己同一性、過去現在未来を通しての一貫性〉を維持した生き方が出来れば私は《健康である》と確信が持てるのではないかと考えています。カウンセラーとして、日々様々な年代や職業の方のこころの健康と向き合っているわけですが、“自分とは何か?”、“自分らしく生きるとは…”など、遭遇する状況や、受け止め方に違いはあれど、多くの方が、この答えのない哲学的な自己への問いかけに苦悩されています。セルフアイデンティティの拡散、あるいは崩壊を経て、再構築を繰り返す道を辿ると言ってよいかと思います。自分の根本である「自己」が揺らぐわけですから、それは不健康状態に陥って生きづらさを感じるのも至極当然と言えそうです。
100年人生を生きる私たちには、環境の変化や個人の成長過程、対人関係の変化等、実際に想定されることだけでなく、思いもよらない想定外の異変が訪れるのが現実です。その変化が、良い刺激となる場合は、肯定的に働きますが、そうでない場合には、その環境変化の波に呑まれ、“自分とは誰? どこに居るの? 何をしているの?・・・”と自己に問うことになります。その答えが出せないと混乱し自己喪失感に浸り絶望の海で彷徨うことになるでしょう。そして慢性的なこころの不健康状態になります。ただ「自分らしく生きて行ける」ことが、私のこころの健康となり環境と社会がその支えとなります。
最後に、私自身は101歳つまり1世紀と1年を生き抜くことを目指しています。小学生の時はなぜか89歳だと信じていましたが、今では世紀を跨いだ寿命を実現してみたいと思っています。それにはこころとからだの健康に加えて、社会へのその年齢に相応しい適切な対応とより良い環境が必要ではないかと考えます。
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