産業保健コラム

近藤 亨子 相談員

    • 保健指導
    • 元 愛媛産業看護研究会 会長
      ■専門内容:産業保健指導・産業看護・事業場における治療と職業生活の両立支援
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質のよい睡眠で活力を高めよう

2023年08月


最近の暑さは耐え難く、7月に続き8月も、気温35度を超える“猛暑日”や“熱中症警戒アラート”を目にする機会が多くなっています。日本気象協会は、四国地方の熱中症の傾向について、8月は「厳重警戒」、9月に入っても「警戒」、日によっては「厳重警戒」ランクになる可能性があると発表されていて、9月も残暑が厳しい状況が予測されています。

日本人の睡眠の状況は、必要な睡眠時間は個人差が大きく、年齢によっても変化しますが、働く世代にとって必要な睡眠時間は6~9時間と言われています。日本人の睡眠時間は短く、国の調査では約4割の人が6時間未満となっています。そして、睡眠による休養が十分とれていない人の割合は2018年で23.4%(健康日本21 目標値15%)であり、年々増えている傾向になっています。(平成30年国民健康・栄養調査報告より)

「熱帯夜」ともなれば、寝苦しさは最大となり、寝つきが悪いばかりか、夜中に何度も目覚めたり、翌日も疲れが残ったりと、体調をコントロールするのが難しくなってきます。でも、まだまだ残暑厳しい日々が続きます。睡眠は、生活習慣と同様に健康と深く関係しています。よりよい眠りは、心身の健康や日々の活力の源になりますので、この機会に「睡眠」をみなおしてみませんか?

◆睡眠による休養感を高める工夫
日中の運動・身体活動を増やす 睡眠には、年齢、日中の活動、環境、アルコール、ストレスが影響します。より快適な睡眠ができるよう、それぞれのポイントを確認しましょう。

1.日中に体を動かし、適度な疲労を感じることで寝付きが促され、中途覚醒が減り、睡眠の質が高まります。重要な点は「運動の習慣化」。習慣的に運動している人の70% 以は睡眠の質がよいことがわかっています。でも、寝る前2~4 時間の運動はかえって目を覚ますので避けましょう
2.就寝前にリラックスし、嗜好品に注意する 寝る前にリラックスすることは寝付きをよくするために効果的です。ただし、飲酒や喫煙 などの嗜好品は使用する量やタイミングを誤ると、かえって睡眠を悪化させ、健康を害 すことがあります5)。また、寝る前についつい別のことをして夜更かしをすることで、睡 眠が不足し、休養感が低下してしまいます。次のことに気をつけましょう。
①夕方以降はカフェインを控える
カフェインには覚醒作用や利尿作用があるため眠りを浅くしたり、途中でトイレに起きたりする原因にもなります。
【カフェインを含む飲料】コーヒー、緑茶、紅茶、ココア、栄養ドリンクなど
②寝る直前の食事は控える
睡眠直前の2時間以内に食事を摂ると、睡眠の質を低下させる可能性があります。なるべく決まった時間に食事をするよう心がけましょう。
③スマートフォンの使用を控える
睡眠の1時間前からスマートフォンやパソコンの使用を控え、室内の照明を半分にするなど明るさに気をつけましょう。寝室にスマホなどを持ち込まない、通知を切る、寝る直前に返信をしないなどの習慣化が重要です。
④喫煙をしない
タバコに含まれるニコチンは覚醒作用があり、眠りを妨げます。さらに、 喫煙歴の長い人では睡眠時無呼吸症候群のリスクが高くなることにも注意が必要です。
睡眠以外の健康のためにも喫煙は控えましょう
3.寝室の環境を整える
(光)夜は室内照明を弱くして光の量を減らし、できるだけ暗い環境で眠りましょう
(温度)室内はエアコンなどで快適と感じられる適度な室温(28度ぐらい)を心がけましょう。また、扇風機を併用してみてはいかがでしょうか。その際に、風を当てるのは表面に太い血管の通っている足首あたりに当てると深部体温が下がりやすく寝入りが良くなります。
(音)騒音は眠りを妨げるのでできるだけ静かな環境で眠りましょう。
落ち着いた音楽を聴くと寝付きがよくなったり、リラックスのために心地よい静かな音楽をかけることもよいでしょう。

(引用「良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない睡眠のこと」厚生労働省より)

厚生労働省から「健康づくりのための睡眠指針2014 ~睡眠12箇条~」が平成26年3月に公表されています。この指針では、睡眠について正しい知識を身につけ、定期的に自らの睡眠を見直して、適切な量の睡眠の確保、睡眠の質の改善、睡眠障害への早期からの対応によって、事故の防止とともに、からだとこころの健康づくりを目指しています。

【睡眠12箇条】
第1条 良い睡眠で、からだもこころも健康に。
第2条 適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
第3条 良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
第4条 睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
第5条 年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
第6条 良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
第7条 若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
第8条 勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
第9条 熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
第10条 眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
第11条 いつもと違う睡眠には、要注意。
第12条 眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。

作業場での熱中症予防や日頃からの健康管理に十分に気を配ばり暑さに負けない工夫をし、この夏を元気に乗り切りましょう!!

産業保健相談員 近藤 亨子(保健指導)

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