産業保健コラム

廣瀬 一郎 相談員

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    • カウンセリングルームこころの栞 主宰カウンセラー
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適切な自己評価 ~「値引き」と「値上げ」のバランス~

2024年05月


様々な物、そしてサービスの値上げが続いています。それでもなお、日本の物価水準は世界基準より割安だとも言われていますから、われわれは「井の中の蛙」と言わざるを得ないのでしょうか。

さて、「値上げ」、「値引き」といえば、私の中にはもう一つ別の概念が頭に浮かんできます。心理学の分野では、人や人を取り巻く状況を低く評価することを、「ディスカウント」(値引き)と表現します。この「ディスカウント」(値引き)が必ずしも悪いかというと、一概にそうではないと私は思います。自己評価は、人生において重要なスキルです。正しく行うことで自己成長の一翼を担うことができます。

そこで、今回は、自己評価に対する「良い値引きと悪い値引き」、そして「良い値上げと悪い値上げ」に焦点を当ててみたいと思います。

まず、「良い値引きと悪い値引き」についてです。良い値引きとは、自分の能力や成果を客観的に評価し、適切に認めることです。これは自己評価のバランスの取り方です。自分に厳しくあることも大切ですが、適度な自己肯定感も持つことが重要です。一方、悪い値引きとは、過度な自己批判や自己否定に陥ることです。自分の成功や成果を過小評価し、自信を失ってしまうことがあります。このような場合、客観的な視点を持ち、自分の強みや成長を再認識することが必要です。

次に、「良い値上げと悪い値上げ」について考えてみましょう。良い値上げとは、自分の能力や成長に応じて自己評価を高めることです。新たな挑戦や経験を通じて成長し、自信を深めることができます。しかし、過剰評価となると、自分の能力や成果を過大評価し、周囲との認識の乖離が生じる恐れがあります。そのため、客観的なフィードバックを受け入れ、適切な自己評価を保つことが重要です。

一方で、悪い値上げとは、過度な自己評価やプライドの高まりによって、他者とのコミュニケーションや協力が難しくなることです。自分の成果や能力を正当に評価することは大切ですが、それが傲慢さや他者への配慮の欠如につながってはいけません。

自己評価が正確であることは、自己成長の基盤となります。適切な値引きと値上げを行い、客観的な視点を持ちながら、自己評価を行うことが重要です。過去の成功に固執しすぎては、未来における課題や成長ポイントを見逃すことがあります。自分に厳しく評価することは成長の礎となりますが、過剰な自己批判は逆効果です。過去の挫折や失敗から学び、それを次に繋げることです。

自己評価は継続的なプロセスであり、バランス感覚が求められます。良い値引きと悪い値引き、良い値上げと悪い値上げの違いを知り、自分の成長を着実に築いていきましょう。過去を振り返りつつも、未来に向けて前向きな意識を持ち、自分を高めていくことで、より充実した人生が待っています。

産業保健相談員 廣瀬 一郎(カウンセリング)

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