2026年07月
WHOと厚生労働省は、肝炎ウイルスに対する理解を深めて、スクリーニング検査の必要性や治療の啓発をめざして、7月28日を世界肝炎デー(World Hepatitis Day)および日本肝炎デーに定め、その日を含む1週間を「肝臓週間」として、肝疾患に関する様々な啓発活動を展開しています。肝炎は自覚症状に乏しいまま進行することが多く、気づかないうちに肝硬変や肝がんへ進展します。「一生に一度は肝炎ウイルスの検査を受け、感染していれば適切な治療を受ける」ことが重要です。愛媛県は肝がん死亡率が全国的に見てもワースト10位以内が持続し、対策が急務の県になっています。
健康経営の観点からもB型・C型肝炎は重要な問題です。一度も肝炎ウイルス検査を受けたことがない方、受けたか覚えていない方は、必ず検査を受けてください。保健所や医療機関で肝炎ウイルス検査を受けることができます。一方で、感染していると判定されても、自覚症状に乏しく専門医療機関を受診しない方が少なくありません。肝炎ウイルスは治療できるウイルスです。必ず肝臓専門医を受診してください。B型・C型肝炎に対する抗ウイルス療法は大きく進歩しています。C型肝炎は内服治療により完全なウイルス排除が期待できます。B型肝炎も治療によって病状の進行や肝がんの発症を抑えることが可能です。また、治療に必要な費用も、肝炎医療費助成制度を利用することで自己負担を軽減することができます。
B型肝炎ウイルスに感染していても、肝機能が落ち着いた状態の方や、C型肝炎ウイルスが排除された方では、治療後に通院を中断してしまう患者さんがいます。しかし、このような落ち着いた状態からも、肝がんが発生する危険性があります。感染している方、治療後の方も、肝がん検診が必要で、定期的な画像検査や血液検査を継続することが大切です。
ウイルス性肝炎だけでなく、最近ではアルコールによる肝障害、そしてアルコールによらない脂肪肝による肝障害(MASH)が増加し、肝硬変や肝がんの主要な原因になってきています。MASHには治療薬が承認されました。職場での健診で脂肪肝や肝機能異常を指摘された方は、ぜひ専門医のいる病院に受診して治療について相談してください。
肝疾患は正しく治療すれば、肝機能を維持できて、仕事との両立が可能です。治療と仕事の両立支援の対象として、肝疾患は大きく取り上げられています。両立支援では、主治医と職場の産業医、そして両立支援コーディネーターが、職場と医療機関の両面から支えていきます。愛媛大学医学部附属病院では肝疾患診療相談センター(089-960-5955)を介して、社会保険労務士による無料の就労相談を行っていますので、お気軽にお問い合わせください。
世界肝炎デー、日本肝炎デーをきっかけに、産業保健スタッフから肝疾患について啓発いただくことが、肝炎および肝がんの撲滅のための大きな力となります。ぜひご協力をよろしくお願いいたします。
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