産業保健コラム

コラム

心の病気は早期発見早期治療が大切

2013年05月


自殺者数は平成10年から平成23年度まで毎年3万人を超え平成24年度にはじめて3万人を下回りました。愛媛県でも340人の方が自殺で亡くなっています。
自殺の要因は経済状況など様々な要因が考えられますが、心の病気が自殺に深く関係しているといわれます。
園田医院の園田順二院長によると「心の病気は、早期発見早期治療が大切であり、家族などが異変に気付いて、早期の治療に結びつけることができるよう、心の病気について知識を深め、関係機関などに気軽に相談していただくことが大切です」といわれています。
自殺者は失業率に比例して増加する傾向にあるといわれています。世界金融危機に端を発した世界同時不況によりわが国も減産や人員削減が相次ぎ派遣社員などの多くが失業して自殺者もさらに増加したことがありました。
自殺者は職場ではなかなか気がつく人は少なく、家庭で7割以上の人が、その予兆に気がつくという調査結果がでています。
自殺者が平成15年度に34,427人と最悪を記録するなど、労働者のメンタルヘルス不調の予防が喫緊の課題となって、厚生労働省はその対応に取り組んできました。
メンタルヘルス不調を早期に発見し、早期治療を促進する為、労働者本人だけでなく家族を含めた対策が取られる様になりました。
平成19年6月に愛媛産業保健推進センターがアンケート調査した結果、労働者の多くが疲れや悩みを抱えているにも拘らず、メンタルヘルスに取り組む事業所は少なく、長時間労働者の面接指導を実施した事業所も少ない結果が出ています。
最近の過労自殺の裁判を見ても「労働時間を適正に抑え、精神科への受診を勧誘するなどの措置を取っていれば防止できた」と安全配慮義務違反によって1億円もの高額な賠償命令の判決もでています。メンタルヘルス対策を取り自殺者が減るよう関係機関のご利用をお勧めします。

統括コーディネーター
矢野 正志

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