2026年01月
年の初めにあたり、自分のため、家族のためにと「今年こそ禁煙を」と誓われた方もいらっしゃるでしょう。
そして、まず手始めに「加熱式たばこ」に変えてみようか、と考えておられる方もいるかと思います。
自身やご家族をはじめ周囲の方々の健康を思う気持ちはわかりますが、これでは喫煙による害から身を守る(健康上のリスクを減らす効果)は期待できません。
それは、加熱式たばこも、「たばこの葉」を電気で加熱し、発生する煙(エアロゾル)を喫煙するもので、形や機能は違っても、中身は紙巻たばこと同じ「たばこの葉」なので、たばこ事業法でも「たばこ製品」とされています。
紙巻たばこも加熱式たばこも、「たばこ」に変わりはありません。
紙巻たばこで起こる病気は、加熱式たばこでも起こり得ると考えられています。
それを、「紙巻たばこほど体に害がない」、「受動喫煙に配慮できる、受動喫煙のリスクがない」、「加熱式たばこを吸うことは喫煙ではない」このような間違った認識をしていませんか。
加熱式たばこは、以下のことを十分に認識した上での注意が必要です。
1.たばこは、本質的に毒性の高い嗜好品であり、あらゆる形態のたばこ製品は有害と考えられ、公共の場所での使用を禁止すべき。
2.禁煙への手段(ステップ)にならない。
3.使用者の多くが従来の紙巻たばこと並行して使い続けており、二重使用(デュアルユース)による健康被害が心配されている。
4.健康上のリスクを減らす効果はほとんどなく、健康影響が少ない代替品とはならない。
(ハームリダクション)
5.喫煙の「きっかけ」を与え(ゲートウェイ)、ニコチン依存者の増加が懸念されている。
貴方や周囲の方々の健康を思う気持ちを大切に、今年は、是非本当の禁煙に挑戦されては、いかがでしょうか。
おりしも厚労省では、受動喫煙対策専門委員会を立ち上げ、改正健康増進法施行5年後の受動喫煙対策の見直しが検討がなされています。
加熱式たばこは、法改正時には受動喫煙の健康影響が十分に解明されておらず、経過措置が取られたという経緯があり、付帯決議で、受動喫煙に関する研究を進め、必要な措置を速やかに講じるように求められていたので、最新の科学的知見等も踏まえた検討がなされると思います。
このように国において、これまでの経緯や現状把握の上、受動喫煙対策の見直しが行われるに際して、参考までに加熱式たばこの5年前(改正法制定当時)の状況がどうであったのかを、当時の私のメルマガ・コラム(編集あり)で振り返ってみましょう。
新型たばこの規制は食用キノコ図鑑(安全確認型)で (2019-10)
キノコ採りで、沢山採ったキノコの中に、今まで見たことのないキノコが混じっていたとき、あなたはどうしますか。このキノコは、毒キノコかもしれませんね。
そこで、「毒キノコ図鑑」に載っていないか調べます。丁寧に何度も調べ直してみても毒キノコ図鑑には、載っていませんでした。
あなたは、これで大丈夫と考え、食べますか。何か不安を感じ、引っ掛かりますよね。
それは何でしょうか。それは、このキノコが新種の毒キノコで、「毒キノコ図鑑」には、まだ収載されていなかったという場合があるからです。
このように、毒キノコであるかどうかを「毒キノコ図鑑」を見て判定するような方法を「危険検出型システム」と言います。
危険検出型は、危険であることをセンサー等(毒キノコ図鑑)で検出して、危険を回避するシステムです。危険が検出された時にだけ、機械の運転を停止させるシステムです。
センサー等が故障した(まだ毒キノコ図鑑に収載されていない)場合は、危険検出の信号を発することができず、そのため機械等が停止せずに動き続けますので危険です。
「毒キノコ図鑑」に載っていないだけでは、このようなリスクがあります。
では、どのようなシステムにしたらよいのでしょうか。
キノコを安全に食べるには、「食用キノコ図鑑」に載っているかどうかを調べ、載っておれば美味しくいただきます。
「食用キノコ図鑑」に載っているということは、過去に多くの人が食べて、安全であることが確認できているということです。
安全が確認出来たときのみ食べる、これを「安全確認型システム」と言っています。
安全であることを確認し、安全であるとの信号が発せられている場合のみ、機械の運転等が継続されます。安全であるとの信号が途絶えると運転は停止されます。
どちらがより安全かと言えば、おわかりの通り、「安全確認型システム」です。
日本では、「危険検出型システム」が多く採用されてきましたが、最近では、欧米型の「安全確認型システム」に移行しています。
この考え方は、労働衛生(産業保健)分野のいろいろなことに適用できます。
有害性が検出できなければ「可」とする(危険検出型)、有害性がないことが確認できた場合のみ「可」とする(安全確認型)
これを、加熱式たばこの規制について考えてみましょう。
たばこの有害性、受動喫煙による健康影響等の知識が普及し、世界的に紙巻きたばこ市場は縮小しています。このような中で、たばこメーカーは、生き残りをかけて、次々と新しいタバコ製品を市場に出してきています。
広告・宣伝では,紙巻きたばこに比べて、有害物質や発がん性物質を削減等と安全性をPRしているものもあります。
喫煙者は、自身の健康や周囲に与える影響の比較的小さい(?)と思われる加熱式たばこへと移行しており、本年(2019年)中に国内のタバコ市場の3割近くになるとの予想もあります(2025年 約39%)。
加熱式たばこは、本当に大丈夫なのでしょうか。
たばこメーカーは、有害物質がこれだけ少ないのだからと、「危険検出型」になりがちですが、規制する側では、以下のような「安全確認型」のスタンスが必要です。
健康への影響は科学的に明らかにされていない。
有害物が少なくなったとしても,たばこ煙にさらされることについては安全なレベルというものがないともいわれており、無害あるいは健康被害が少ないとは決して言い切れるものではない。公衆衛生上の潜在的な影響が明確になっていない。
新しく開発されたもので、まだ歴史の浅い商品であり、長期間にわたる健康障害に関するデータを集積し、科学的根拠の蓄積が必要である。
このように、加熱式たばこに対しては、安全確認型(食用キノコ図鑑)で対処することが必要と考えます。
臼井繁幸 産業保健相談員(労働衛生コンサルタント)
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