産業保健コラム

近藤 亨子 相談員

    • 保健指導
    • 元 愛媛産業看護研究会 会長
      ■専門内容:産業保健指導・産業看護・事業場における治療と職業生活の両立支援
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質のよい睡眠で猛暑の夏を乗りきりましょう

2022年08月


今年の夏も猛暑が続いている中、食欲がない、夜寝苦しく何回も目が覚めてる、朝起きてもなんとなく体がだるい等「夏バテ」を感じている方も多いかと思います。体と心の疲労を回復させるためには十分な睡眠が大切になってきます。

厚生労働省 健康日本21「休養・こころの健康」の指針では、次のように述べられています。
栄養バランス・運動習慣とあわせて、「休養」が加えられ健康の3要素と言われてます。
睡眠の質を向上させるほど、疲労から心身を回復させる効果があります。肉体疲労はもちろん、脳のように目に見えない部分に蓄積した疲労を取り除くことは睡眠の大きな効果で「休養」は疲労やストレスと関連があり、2つの側面がある。1つは「休む」こと、つまり仕事や活動によって生じた心身の疲労を回復し、元の活力ある状態にもどすという側面であり、2つ目は「養う」こと、つまり明日に向かっての鋭気を養い、身体的、精神的、社会的な健康能力を高めるという側面である。
このような「休養」を達成するためにはまず「時間」を確保することが必要で、特に、長い休暇を積極的にとることが目標となる。しかし、このような休養の時間を取っても、単にごろ寝をして過ごすだけでは真の「休養」とはならず、リラックスしたり、自分を見つめたりする時間を1日の中につくること、趣味やスポーツ、ボランティア活動などで週休を積極的に過ごすこと、長い休暇で、家族の関係や心身を調整し、将来への準備をすることなどが真の休養につながる。休養におけるこのような活動が健康につながる種々の環境や状況、条件を整えることとなっていくことから、今日の健康ばかりでなく、明日の健康を考えていくところに「休養」の意義付けをし、「積極的休養」の考え方が重要であると提唱されています。

ご自分の睡眠を見直し、この夏を快適に過ごせるよう睡眠の質を向上させるための工夫を試みましょう。

<睡眠の質を向上させる方法>

●「夜寝られない・朝起きられない」という生活を改善するには、早く寝るのではなく、早く起きることです。眠くても太陽光を浴びて起きてしまえば、体内時計がリセットされて目が冴えてきます。そして夜になると自然に眠気を感じて寝てしまいます。また、適度な運動は睡眠を促進するので、ストレッチや散歩などをしてみてはどうでしょうか。

●睡眠の直前に入浴する場合は、お湯の温度をぬるめ(38~40℃)にしましょう。季節によっては温度を調節し、ゆったりと20~30分ほどお湯につかります。額にうっすらと汗をかく程度で、眠気に作用する副交感神経が働きます。熱めのお湯(42℃以上)につかると、交感神経の働きが活発になって体が火照るので、睡眠前にはお薦めできません。熱めのお湯が好きな人は、ぬるめのお湯につかった後に熱めのシャワーを全身に浴びてから上がります。こうすると熱いお湯の感覚が皮膚に残り、入浴感が得られます。

●胃に入った食べ物が消化されるまでには、3時間ほどかかります。就寝時には消化が終わっているのが理想的なので、寝る3時間前には食事を終えておきましょう。どうしても食事が遅くなってしまう場合は、消化の良いものを少量食べるようにしましょう。

●起きたときに首や肩が凝っている、胸の筋肉が張るなど筋肉の緊張が取れていないと
きは、枕と頸椎のカーブが合っていないかもしれません。好みの高さでも、実は体に合っていないことも多くあります。専門店で自分の首のカーブを計測して自分の会う高さの枕を選んでみても良いかもしれません。

●スマートフォンやタブレットの普及に伴い、ベッドまで持ち込む人も増えています。
スマートフォンやタブレットから発せられるブルーライトは睡眠を促すホルモンであるメラトニンの生成を抑制してしまうため、寝つきが悪くなったり睡眠障害になったりする可能性があります。就寝時には、ブルーライトを発する機器を見ないようにして、リラックスした状態で目を閉じましょう。

●夏の夜は暑くて眠れないとお困りの方も覆うのではないかと思います。
熱帯夜には寝るタイミングでエアコンをつけても、なかなか室温が下がりにくいものです。寝室に入る30分前にエアコンをONにし、熱の溜まりやすい天井に風をあてておくのが、効率よく涼しい睡眠環境を作れます。冷えすぎると体の循環機能が低下しますので、1時間程度のタイマーを利用しましょう、
エアコンがにがてな方は、冷却枕で後頭部や首を冷やしたり、冷却シートでおでこを冷やしたりすることでクールダンウンさせることができます。
また、睡眠中に熱中症になるここともありますので、寝る前にコップ1杯のお水を飲むことを心がけましょう。

●睡眠薬代わりの寝酒は深い睡眠を減らし、夜中に目覚め不眠の原因となります。いろいろ工夫してもどうしても眠れない人は医師の指示で睡眠薬を正しく使えば安心とされています。また、十分眠っても日中の眠気で仕事に支障がある場合は専門医に相談しましょう。

産業保健相談員 近藤 亨子(保健指導)

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