産業保健コラム

廣瀬 一郎 相談員

    • カウンセリング
    • カウンセリングルームこころの栞 主宰カウンセラー
      ■専門内容:カウンセリング全般
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カウンセリングを受けたらどうなりますか?

2014年02月


「自分のこころがなんとなく温かくなり、なにかしら勇気が湧いてくるようになります」。これは、私が何人かのクライエントあるいは研修の受講者から標題の質問を受けた時の私の答えです。

また「なんとなく温かくなる」と「勇気が湧いてくる」これらのフレーズは、既にカウンセリングを受けたクライエントが語った言葉であり、同時に私がクライエントから感じたクライエントの雰囲気です。

「胸が熱くなる」とか「一筋のあかりがともる」という言葉もきっと同じ意味であろうと思われます。クライエントがこの実感を持つにいたるまでには、少々時間を要することとなるのですが、ほぼ確実にこれらの境地に達するようです。

このあとカウンセリングは、クライエントの独壇場となり、カウンセラーは、クライエントが問題解決に向かう軌道からはずれないように、共感的に見守ることが主な役割となります。もちろんカウンセラーが、主導権を握ることがなくはないのですが、多くはクライエントの自発性・自主性が尊重されるプロセスとなるのです。クライエントが自らの人生の方向を自らが選択し、自らが自分の足で歩み始められるように援助をする過程がカウンセリングなのでしょう。

カウンセラーが何をするわけでもなく、これといった役に立つアドバイスをするわけではない(アドバイスが皆無ではない)のに、クライエントは自分の人生を自分の力で「生き」始めるのです。カウンセラーは元々クライエントが持っている生きる能力をクライエントが気づく、引き出す援助をすることがほとんどです。

カウンセリングを受けたこれらの結果は、全てクライエント自身の手柄となるのです。クライエントが既に持っている能力が改めて開花することになるのです。しかし、クライエントが持っていない能力がクライエントにとって必要なケースが出てきます。その時、カウンセラーはクライエントにその不足している能力に気づいてもらい、不足分をクライエント自身が身につける努力を支援するのです。いずれにしてもカウンセリングは、クライエントとカウンセラーの信頼関係をベースにした対人関係の中で行われる協同作業なのです。

産業保健相談員(カウンセリング)   廣瀬 一郎

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