産業保健コラム

廣瀬 一郎 相談員

    • カウンセリング
    • カウンセリングルームこころの栞 主宰カウンセラー
      ■専門内容:カウンセリング全般
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訊く、聞く、聴く

2013年04月


『人の話を「きく」とはどういうことか』と問うと「訊く」と「聞く」と「聴く」が答えとして返ってきます。そして「訊く」は質問したり、尋問したりすることで、「聞く」は話を意識レベルで聞くこと、そして「聴く」とは、大きな耳を持ってこころで聴くのだと多くの人は応えるでしょう。

こじつけになるかもしれませんが「聞く」は門構えの中に小さな耳があるので、聞く人の構えがあって、つまり聞く人の枠組みで聞くと解釈できます。また一方「聴く」の字は耳・十・四・一・心に分解され、相手に耳を傾けて聴き手の「十四=体全体」を一つにしてこころで「聴く」と言えると思います。

しかし、人の話を「きく」時には、これらいずれの「訊く」「聞く」「聴く」も必要です。相手の話したいことを質問して訊く、相手の物語を言語レベルでひたすら聞く、そして非言語レベルも加えて相手の感情、意図、期待、一貫した考えや信念を聴くことになるのです。カウンセリングの傾聴は三つを合体したものとして行われていますが、話し手のペースを言葉使い、声のトーン、思考パターンで合わせて調律してみることも大切です。

日常のコミュニケーションでこの三つの「きく」を適切に使い分けることができると「きく」が「効く」となり、効果的な対人能力が身についてくると思われます。私たちは、日頃から「聴き上手」は「話し上手」をモットーとして丁寧なコミュニケーションをこころがけ、良好な人間関係、対人関係を構築していきましょう。

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