産業保健コラム

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産業医制度に係る見直しについて、労働安全衛生規則等が改正されました 【平成29年3月29日公布 平成29年6月1日施行】

2018年01月


(1) 健康診断の事後措置に必要な情報の提供

 事業者は、健康診断の結果、異常所見のあった労働者について医師等からの意見聴取を行わなければならない場合に、当該医師等から、意見を述べる上で必要となるその労働者の業務に関する情報を求められたときは、これを提供しなければならないこととなりました。

改正 労働安全衛生規則第51条の2 ほか有機溶剤中毒予防規則等8省令

労働者の業務に関する情報とは

「労働安全衛生規則」に関するもの
 労働者の作業環境、労働時間、作業態様、
 作業負荷の状況、深夜業等の回数・時間数等

「有機溶剤中毒予防規則等」に関するもの
 特殊健康診断の対象となる有害業務以外の業務を含む、
  労働者の作業環境、労働時間、作業態様、
  作業負荷の状況、深夜業等の回数・時間数等

(2) 長時間労働者に関する情報の提供

 事業者は、時間外・休日労働が月100時間を超えた労働者について、速やかにその労働者の労働時間に関する情報を産業医に提供しなければなりません。

改正 労働安全衛生規則第52条の2

労働者に関する情報とは

ア:時間外・休日労働が月100時間を超えた労働者の氏名、及び当該労働者の超えた時間に関する情報

イ:アに該当する労働者がいない場合においては、該当者がいないという情報

(3) 定期巡視等産業医の情報収集の見直し

 事業者から産業医に所定の情報が毎月提供される場合には、産業医の作業場の巡視の頻度を、毎月1回以上から2か月に1回以上にすることが可能となりました。(巡視の頻度の変更には事業者の同意が必要です。)

改正 労働安全衛生規則第15条

所定の情報とは

ア:衛生管理者が少なくとも毎週1回行う作業場等の巡視の結果
 ・ 巡視を行った衛生管理者の氏名、巡視の日時、巡視した場所
 ・ 巡視を行った衛生管理者が「設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるとき」と判断した場合における有害事項及び講じた措置の内容
 ・ その他労働衛生対策の推進にとって参考となる事項

イ:アに掲げるもののほか、衛生委員会等の調査審議を経て事業者が産業医に提供することとしたもの

(例)

・ 労働安全衛生法第66条の9に規定する健康への配慮が必要な労働者の氏名及び その労働時間数

・ 新規に使用される予定の化学物質・設備名、これらに係る作業条件・業務内容

・ 労働者の休業状況

ウ:休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1か月当たり100時間を超えた労働者の氏名及び当該労働者に係る超えた時間に関する情報(=今回の見直し②により、産業医への提供が義務付けられた情報)

※ 定期巡視の頻度の見直しをしない場合においても、事業者は産業医に対して上記ア、イの情報を提供することが望まれます。

事業者の同意について

 事業者の同意を得る際は、産業医の意見に基づいて、衛生委員会等において調査審議を行ったうえで行うことが必要です。
 また、当該調査審議は、巡視頻度を変更する一定の期間を定めた上で、その一定期間ごとに産業医の意見に基づいて行います。

(例)4月~9月の6か月間は巡視頻度を2か月に1回にすると衛生委員会で決まった場合⇒10月の衛生委員会で再度、巡視頻度が2か月に1回で問題ないかを話し合いましょう。

 

「産業医制度に係る見直しについて、労働安全衛生規則等が改正されまし
た」リーフレットは、こちらをご覧ください。【厚生労働省】

「産業医制度の在り方に関する検討会報告書等について」は、こちらをご覧ください。【愛媛産保】

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