2014年02月
私達の身の回りの多くの物は、化学物質からできており、化学物質は、生活の基礎資材として不可欠なものとなっています。職場においては、6万種類もの化学物質が取り扱われているといわれておりますが、最近問題になった胆管がんの例のように、取扱いや管理の方法を誤ると、人の健康に悪影響を及ぼすものも少なくなく、職場での適切な管理の必要性が高まっています。
平成24年業務上疾病発生状況 (厚労省)によると、化学物質によるものが、207件となっています。負傷に起因するもの以外では、異常温度 631件 じん肺 361件に次いで多いものとなっています。
健康障害防止には、安衛法と関連する政省令類を理解し守ることです。安衛法に基づく化学物質で特別規則(有機、特化、鉛、四アルキル鉛等)によって、個別に具体的な措置を講じることが事業者に義務づけられているものは、120種類にも満たず、特別則以外の化学物質による労災も多く発生しています。
胆管がんの原因とされている1、2-ジクロロプロパンは、特別則の対象物質ではありませんでした(H25.10.01から特化則の適用)。従って、特別則以外の化学物質についても、労働者の健康障害を防止するためには、その化学物質の有害性と職場でのばく露状況に応じた対策が必要です。
このため、「安衛法・第28条の2」で、全ての化学物質について、危険・有害性の事前評価(リスクアセスメント)と、その結果に基づく事後措置を実施することが、全ての業種(事務的な業種も含めて)の事業者の努力義務とされています。
(事業者の行うべき調査等)第28条の2
事業者は、厚労省令で定めるところにより、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等を調査し、その結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。
ただし、当該調査のうち、化学物質、化学物質を含有する製剤その他の物で労働者の危険又は健康障害を生ずるおそれのあるものに係るもの以外のものについては、製造業その他厚生労働省令で定める業種に属する事業者に限る。
(注)化学物質のリスクアセスメントは、全ての業種で実施が必要です。
2.厚労大臣は、前条第1項及び第3項に定めるもののほか、前項の措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
(注) 危険性又は有害性等の調査等に関する指針 H18/3
危険性又は有害性等の調査等に関する指針・同解説 H18/3
危険性又は有害性等の調査等に関する指針について(通達) H18/3
化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針H18/3
化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針について(通達) H18/3・・・他
3.厚労大臣は、前項の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導、援助等を行うことができる。
リスクアセスメントをいつ実施するかは、「安衛則・第24条の11」で、リスクに大きな変動が生じ、又はそのおそれがあるときにアセスメントの実施が必要と規定されています。
「安衛則・第24条の11」
危険性又は有害性等の調査は、次に掲げる時期に行うものとする。
しかし、人材がいない、時間がない、よく解らない等の理由で、リスクアセスメントの実施率は低く、事業場の規模が小さいほど低くなっています。そのため、第12次・労働災害防止計画(平成25年~29年)では、次のことを重点としています。
臼井繁幸 産業保健相談員(労働衛生コンサルタント)
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