産業保健コラム

臼井 繁幸 相談員

    • 労働衛生工学
    • 第一種作業環境測定士 労働衛生コンサルタント
      ■専門内容:労働衛生工学
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化学物質の法規制-26 管理体制と教育

2015年08月


I.作業主任者
作業主任者は、安衛法第14条により、労働災害を防止するための管理を必要とする一定の作業について、選任が義務付けられています。

安衛法・第14条
事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚労省令で定める事項を行わせなければならない。

化学物質関係で作業主任者を選任しなければならない作業(令・第6条)は、次のとおりです。

安衛令・第6条
8. 乾燥設備のうち、危険物等(別表第1の危険物及びこれらの危険物が発生する乾燥物)に係る設備で、内容積が1m3以上のものによる物の加熱乾燥の作業
18. 別表第3に掲げる特定化学物質を製造し、又は取り扱う作業
19. 別表第4第1号から第10号までに掲げる鉛業務に係る作業
20. 別表第5第1号から第6号まで又は第8号に掲げる四アルキル鉛等業務に係る作業
21. 別表第6に掲げる酸素欠乏危険場所における作業
22. 屋内作業場又はタンク、船倉若しくは坑の内部その他省令で定める場所において別表第6の2に掲げる有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務で、厚労省令で定めるものに係る作業
23. 石綿若しくは石綿をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物(石綿等)を取り扱う作業(試験研究のため取り扱う作業を除く)又は石綿等を試験研究のため製造する作業

なお、特化則の特別有機溶剤業務では、「有機溶剤作業主任者技能講習」の修了者の内から特定化学物質作業主任者を選任することが必要です。

II.特別教育
安衛法・第59条第3項 事業者は、危険又は有害な業務で、厚労省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚労省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。

化学物質関係で特別教育を必要とする業務

安衛則・第36条
法第59条第3項の厚労省令で定める危険又は有害な業務は、次のとおり特別教育の内容の詳細は、安衛規則第39条の規定に基づき、安全衛生特別教育規程その他の告示により定められています。

25. 四アルキル鉛等の業務
26. 酸素欠乏危険作業
27. 特殊化学設備の取扱い、整備及び修理の業務
29. 特定粉じん作業
35.36.37. 廃棄物の焼却施設に関する業務 (ダイオキシン)
37. 石綿等が使用されている建築物又は工作物の解体等の作業

特別教育は、企業内で行うほか、企業外で行うこともありますが、労働者がその業務に従事する場合の労働災害の防止を図るものであり、事業者の責任において、実施されるべきものです。
特別教育の具体的な内容は、安全衛生特別教育規程別で、厚労大臣が科目や時間を定めています。
講師についての資格要件は定められていませんが、教育科目について十分な知識と経験を有する人でなければなりません。

特別教育に準じた教育(有機溶剤業務従事者)

安衛法・第60条の2
事業者は、事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、危険又は有害な業務に現に就いている者に対し、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行うように努めなければならない。

安衛法・第60条の2第2項の規定に基づき、危険又は有害な業務に現についている者に対する安全衛生教育に関する指針(平成1年指針公示第1号)を次のとおり定めたので、実施に当たっては、事業場の実態を踏まえつつ本指針に基づき実施するよう努めなければならない。

「特別教育」に準じた教育として、「有機溶剤業務従事者に対する労働衛生教育実施要領」を定め、同教育を推進することとしたので、円滑な運用に努められたい。

上記の有害業務について、作業主任者の選任や従事者に特別教育を実施していますか。今一度、見直してみましょう。

臼井繁幸 産業保健相談員(労働衛生コンサルタント)

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