産業保健コラム

臼井 繁幸 相談員

    • 労働衛生工学
    • 第一種作業環境測定士 労働衛生コンサルタント
      ■専門内容:労働衛生工学
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化学物質の法規制-27 作業管理-(1) 作業場への掲示・表示

2015年09月


 化学物質の作業管理については、本年の1月~3月号(化学物質を取り扱う際の日常の注意1~3)に記載していますが、それ以外にも、作業場への掲示・表示としては、次のことが必要です。

1.作業主任者の氏名等の周知 則・第18条
 事業者は、作業主任者を選任したときは、当該作業主任者の氏名及びその者に行なわせる事項を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知させなければならない。

2.有害物の集積、表示 則・第586条
 事業者は、有害物若しくは病原体又はこれらによって汚染された物を、一定の場所に集積し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。

3.化学設備等のバルブ、スイッチ 開閉方向、色分け等 則271~275

4.喫煙、飲食の禁止表示  特化則 38の2 鉛則51条・・・他
 有害物取扱作業場での喫煙、飲食等の禁止は基本

5.立入禁止表示

(1).事業者は、次の場所には、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。 則・第585条
 [1]炭酸ガス濃度が1.5%を超える場所、酸素濃度が18%に満たない場所、又は硫化水素濃度が10ppmを超える場所
 [2]ガス、蒸気又は粉じんを発散する有害な場所
[3]有害物を取り扱う場所

(2).火災または爆発の危険のある場所への立ち入り禁止表示 安衛則288条
 火気の使用禁止および必要でない者の立入禁止

 特別則での規定(一例)

1.有機則

第24条 事業者は、屋内作業場等において有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、次の事項を、作業中の労働者が容易に知ることができるよう、見やすい場所に掲示しなければならない。
 一 有機溶剤の人体に及ぼす作用
 二 有機溶剤等の取扱い上の注意事項
 三 有機溶剤による中毒が発生したときの応急処置

 掲示内容及び掲示方法は、厚労大臣が別に定める(告示)

告示 (昭和47年123号 ~最終改正 昭和53年88号)

第25条 溶剤等の区分の表示

事業者は、屋内作業場等において有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務に係る有機溶剤等の区分を、作業中の労働者が容易に知ることができるよう、色分け及び色分け以外の方法により、見やすい場所に表示しなければならない。
有機溶剤等の区分に応じ、次に定める色によらなければならない。
第一種 赤 第二種 黄 第三種 青

2.特化則
 特化物が流入しないように閉止したバルブ,コック、閉止板等を解放してはならない旨の表示 第22条
 関係以外の者の立入禁止 第23条
 製造、取扱場所 第24条 第38条の2
 運搬、貯蔵する容器 第25条
特別管理物質の名称、取扱場の注意等 第38条の3 ・・・他

3.石綿則
 石綿の有無の調査結果第3条 立ち入り禁止 第15条
 喫煙禁止 第33条 取扱上の注意等 第34条

4.酸欠則
 酸欠危険場所又はこれに隣接する場所で作業を行うときは、従事者以外は酸欠場所に立入禁止し、表示する 第9条
 酸欠等の危険が生じた場所 第14条
 消火設備の誤作動防止措置 第19条
 酸欠等のガスが流入しないように閉止したバルブ、コック、閉止板等を解放してはならない旨の表示 第22条

 次号に続く

臼井繁幸 産業保健相談員(労働衛生コンサルタント)

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