2016年02月
8.危険性又は有害性の特定
事業者は、化学物質等について、リスクアセスメント等の対象となる業務を洗い出した上で、危険・有害性の特定をします。
リスクアセスメント等の対象となる業務は、
(1)化学物質等を製造する業務
当該化学物質等を最終製品として製造する業務。
当該化学物質等を製造中間体として生成する業務等が含まれます。
(2)化学物質等を取り扱う業務
譲渡・提供、又は自ら製造した当該化学物質等を単に使用する業務や他の製品の原料として使用する業務が含まれます。
特定の方法としては、以下の通りです。
原則として、ア(SDSに記載されているGHS分類結果)及びイ(日本産業衛生学会等の許容濃度等のばく露限界)を把握することによって特定します。
必要に応じ、ウ(災害やヒヤリハット事例等)も参考にして特定します。
また、化学物質等の「危険性又は有害性」は、個々の化学物質等に関するものですが、これらの化学物質等の相互間の化学反応による危険性又は有害性(発熱等の事象)が予測される場合には、事象に即してその危険性又は有害性にも留意することが必要です。
ア.国際連合から勧告として公表された「化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(GHS)」又は日本工業規格Z7252 に基づき分類された化学物質等の危険性又は有害性(SDSを入手した場合には、当該SDSに記載さ れているGHS分類結果)
GHSで示されている危険性又は有害性の分類
1.物理化学的危険性
(1) 爆発物 (2) 可燃性/引火性ガス (3) エアゾール
(4) 支燃性/酸化性ガス (5) 高圧ガス (6) 引火性液体
(7) 可燃性固体 (8) 自己反応性化学品 (9) 自然発火性液体
(10) 自然発火性固体 (11) 自己発熱性化学品
(12) 水反応可燃性化学品 (13) 酸化性液体
(14) 酸化性固体 (15) 有機過酸化物 (16) 金属腐食性物質
2.健康有害性
(1) 急性毒性 (2) 皮膚腐食性/刺激性
(3) 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性
(4) 呼吸器感作性又は皮膚感作性 (5) 生殖細胞変異原性
(6) 発がん性 (7) 生殖毒性 (8) 特定標的臓器毒性(単回ばく露)
(9) 特定標的臓器毒性(反復ばく露) (10) 吸引性呼吸器有害性
イ.日本産業衛生学会の許容濃度又は米国産業衛生専門家会議(ACGIH)のTLV-TWA等の化学物質等のばく露限界が設定されている場合にはその値(SDSを入手した場合には、当該SDS に記載されているばく露限界)
ウ.必要に応じて、上記のア、イ以外の、負傷又は疾病の原因となるおそれのある危険性又は有害性
SDS に記載された危険性又は有害性クラス及び区分に該当しない場合であっても、過去の災害事例等の入手しうる情報によって災害の原因となるおそれがあると判断される危険性又は有害性を特定します。
また、労働災害を伴わなかった危険又は健康障害のおそれのある事象(ヒヤリハット事例)のあった作業、労働者が日常不安を感じている作業、過去に事故のあった設備等を使用する作業、又は操作が複雑な化学物質等に係る機械設備等の操作についても特定します。
臼井繁幸 産業保健相談員(労働衛生コンサルタント)
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