2019年10月
行楽の秋です。
山へキノコ採りに行かれる方もいるかと思いますが、沢山採ったキノコの中に、今まで見たことのないキノコが混じっていたとき、あなたはどうしますか。
このキノコは、毒キノコかもしれませんね。
そこで、「毒キノコ図鑑」に載っていないか調べます。
丁寧に何度も調べ直してみても毒キノコ図鑑には、載っていませんでした。
あなたは、これで大丈夫と考え、食べますか。何か引っ掛かりますよね。
不安を感じます。それは何でしょうか。
それは、このキノコが新種の毒キノコで、「毒キノコ図鑑」には、まだ収載されていなかったという場合があるからです。
このように、毒キノコであるかどうかを「毒キノコ図鑑」を見て判定するような方法を「危険検出型システム」と言います。
危険検出型は、危険であることをセンサー等(毒キノコ図鑑)で検出して、危険を回避する行動を取らせるシステムですので、センサー等が故障した(まだ毒キノコ図鑑に収載されていない)場合、危険を検出する信号を発することができないので機械等が停止せず、動き続けますので危険です。
危険が検出された時にだけ、機械の運転を停止させるシステムです。
「毒キノコ図鑑」に載っていないだけでは、上記のようにリスクがあります。
どうしたらよいのでしょうか。
答えは、「食用キノコ図鑑」に載っているかを調べ、載っておれば美味しくいただきます。
「食用キノコ図鑑」に載っているということは、過去に多くの人が食べて、安全であることが確認できているということです。
安全が確認出来たときのみ食べる、これを「安全確認型システム」と言っています。
安全であることを確認し、安全であるとの信号が発せられている場合のみ、機械の運転等が継続されます。
安全であるとの信号が途絶えると運転は停止されます。
どちらがより安全かと言えば、おわかりの通り、「安全確認型システム」です。
日本では、「危険検出型システム」が多く採用されてきましたが、最近は、欧米型の「安全確認型システム」に移行しています。
この考え方は、労働衛生分野のいろいろなものに適用できます。
有害性が検出できなければ「可」とする(危険検出型)、有害性がないことが確認できた場合のみ「可」とする(安全確認型)
これを、新型タバコ(電子タバコや加熱式タバコ)の規制について考えてみましょう。
タバコの有害性、受動喫煙による健康影響等の知識が普及し、世界的に紙巻きタバコ市場は縮小しています。
このような中で、タバコメーカーは、生き残りをかけて、次々と新しいタバコ製品を市場に出してきています。
広告・宣伝では,紙巻きタバコに比べて、有害物質や発がん性物質を削減等と安全性をPRしているものもあります。
喫煙者は、自身の健康や周囲に与える影響の比較的小さい(?)、と思われる新型たばこへと移行しており、本年中に国内のタバコ市場の3割近くになるとの予想もあります。
新型タバコは、本当に大丈夫なのでしょうか。
タバコメーカーは、有害物質がこれだけ少ないのだからと、「危険検出型」になりがちです。
一方、規制する側では、以下のように「安全確認型」のスタンスとなります。
健康への影響は科学的に明らかにされていない。
有害物が少なくなったとしても,たばこ煙にさらされることについては安全なレベルというものがないともいわれており、無害あるいは健康被害が少ないとは決して言い切れるものではない。
公衆衛生上の潜在的な影響が明確になっていない。
新しく開発されたもので、まだ歴史の浅い商品であり、長期間にわたる健康障害に関するデータを集積し、科学的根拠の蓄積が必要である。
新型タバコに対しては、安全確認型 (食用キノコ図鑑)で対処することが必要と考えます。
次回は、新型タバコについて現在までに判明していることを紹介します。
臼井繁幸 産業保健相談員(労働衛生コンサルタント)
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