産業保健コラム

臼井 繁幸 相談員

    • 労働衛生工学
    • 第一種作業環境測定士 労働衛生コンサルタント
      ■専門内容:労働衛生工学
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職場の化学物質 よもやま話-22 再度、新型コロナ対応に抜けがないか確認を

2020年11月


新型コロナの新規感染者数は、第2波が収まらないまま、最近(11/8)では、増加傾向がみられます。
そこで今月は、職場での基本対策の実施状況を再度チェックし、不十分な点については安全衛生委員会等を活用して改善に繋げ、感染症の拡大防止を図ってください。
チェックリストは、厚労省・令和2年8月7日改定版を基にしています。

職場での基本対策の実施状況のチェックリスト

1.感染予防のための体制

(1)事業場トップが、積極的に取り組むことを表明し、労働者に推進の重要性を伝えている。

(2)推進の「責任者」、「担当者」の任命(衛生管理者、衛生推進者等)(3)会社の取組・ルールを労働者全員に周知している。

(4)管理監督者に、労働者が感染予防行動を実践するよう指導することを教育している。

(5)安全衛生委員会等で、拡大防止をテーマに、事業場の実態を踏まえ実現可能な対策を議論している。

(6)「新しい生活様式」の実践例に基づき、職場以外でも感染予防行動を取るように、全員に周知を行っている。

(7)新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)を周知し、インストールを労働者に勧奨している。

2.感染防止のための基本的な対策

1)感染防止3つの基本(1.身体的距離の確保、2.マスクの着用、3.手洗い)を求めている。

(1)人との間隔は、できるだけ2m(最低1m)開けること。

(2)会話をする際は、可能な限り真正面を避けること。

(3)外出時、屋内、会話をする時に、症状がなくてもマスクを着用すること。

(4)手洗いは、30秒程度かけて水と石けんで丁寧に洗うこと(手指消毒薬の使用も可)

2)3密の回避等の徹底を求めている。

(1)3密(密集、密接、密閉)の回避行動を全員に周知し、職場以外でも回避を徹底。

(2)普段からマスク着用や咳エチケットを全員に周知し、職場以外でも回避を徹底。

(3)こまめな換気について全員に周知・徹底。

3)日常的な健康状態の確認の徹底を求めている。

(1)出勤前に体温を確認するよう全員に周知・徹底。

(2)出社時等に、全員の日々の体調確認(発熱・だるさ等風邪症状の有無味覚・嗅覚異常の有無等)

(3)体調不良時に正直に申告しやすい雰囲気を醸成し、訴えがあれば勤務させない、休むことで不利益な扱いにしないこと等を、職場で確認している。

4)一般的な健康確保措置

(1)長時間時間外労働を避ける等、疲労が蓄積しないように配慮している。

(2)十分な栄養摂取と睡眠の確保について全員に周知し、意識するよう求めている。

5)「新しい生活様式」の実践例で示された「働き方の新しいスタイル」の取組状況について

(1)「テレワーク、ローテーション勤務」を取り入れている。

(2)「時差通勤でゆったりと」を取り入れている。

(3)オフィスの人口密度を減らした「オフィスは広々と」を取り入れている。

(4)「会議はオンライン」を取り入れている。

(5)「名刺交換はオンライン」を取り入れている。

(6)「対面での打合せは換気とマスク」を取り入れている。

6)新型コロナウイルス感染症に対する情報の収集

(1)国、地方自治体、日本渡航医学会や日本産業衛生学会等の公益性の高い学術学会のホームページ等を通じて最新の情報を収集している。

3.感染防止のための具体的な対策

1)基本的な対策

(1)換気の悪い密閉空間、多くの人が密集、近距離での会話や発声の「3密」を同時に満たす行事等を行わないようにしている。

(2)上記「3密」が重ならなくても、リスクを低減させるため、出来る限り「ゼロ密」を目指している。

2)換気の悪い密閉空間の改善

(1)職場の建物が機械換気(空気調和設備、機械換気設備)の場合、建築物衛生法令の空気環境の基準が満たされている。

(2)職場の建物の窓が開く場合、1時間に2回程度、窓を全開している。

(3)電車等の公共交通機関の利用に際し、窓開けに協力するよう全員に周知している。

3)多くの人が密集する場所の改善

(1)可能な範囲で出勤を抑制する。

(2)時差通勤、自転車通勤、自家用車通勤等の活用を図っている(電車・バス等での密着を防ぐ)。

(3)テレビ会議、Web会議の活用等で、人が集まる形での会議等を極力避けている。

(4)対面での会議やミーティング等を行う場合は、マスクの着用を原則とし、人との間隔をできるだけ2m(最低1m)空け、可能な限り真正面を避ける。

(5)接客業等で、人と人が近距離での対面が避けられない場所は、労働者にマスクを着用させ、人と人の間にアクリル板、不燃性透明ビニールカーテン等で遮蔽する。

(6)職場外(バスの移動等)でもマスクの着用や、換気、人との間隔を取る等3密を回避するよう努めている。

4)接触感染の防止について

(1)物品・機器等(電話、パソコン、デスク等)や治具・工具等は、複数人での共用をできる限り回避している。どうしても共用する場合には使用前後での手洗いや手指消毒を徹底している。

(2)事業所内で労働者が触れることがある物品、機器、治具・工具等について、こまめに消毒を実施することとしている。

5)近距離での会話や発声の抑制

(1)職場では、会話する際には、大声を出さずに距離をなるべく保持するようにしている。

(2)外来者、顧客、取引先との対面での接触や会話をなるべく避けるようにしている。

(3)どうしても1m以内で会話する必要がある場合は、15分以内に留めるようにしている。

(4)呼吸用保護マスクを装着する必要がある作業(粉じん、化学物質等)では声で合図連絡する場合に、拡声器使用、伝声板付きのマスクを採用し、マスクを外さないように周知している。

6)共用トイレの清掃等について

(1)不特定多数が接触する場所は、清拭消毒を行うこととしている。

(2)トイレの床や壁は次亜塩素酸ナトリウム0.1%水溶液で手袋を用いて清拭消毒する。

(3)トイレの蓋を閉めて汚物を流すように表示している。
(便器内は通常の清掃でよい)

(4)ペーパータオルを設置するか、個人ごとにタオルを準備している。

(5)ハンドドライヤーは止め、共通のタオルを禁止している。

7)休憩スペース等の利用について

(1)一度に休憩する人数を減らし、対面で食事や会話を控えている。

(2)休憩スペースは常時換気することに努めている。

(3)休憩スペースの共有する物品(テーブル、いす、自販機ボタン等)は、定期的に消毒をしている。

(4)休憩スペースへの入退室前後に手洗い又は手指の消毒をさせている。

(5)社員食堂での感染防止のため、座席数を減らす、座る位置を制限している、マスクを外したままの談笑を控えるよう注意喚起している、昼休み等の休憩時間に幅を持たせている等の工夫をしている。

(6)社員食堂では感染防止のため、トングやポット等の共用を避けている。

(7)喫煙所では同時に利用する人数に制限を設け、手指消毒後に十分乾いてから喫煙するよう指導し、会話をせず喫煙後は速やかに立ち退くことを、利用者に周知し、徹底している。

(8)その他の共有の施設について、密閉、密集、密接とならないよう利用方法について検討している。

8)ゴミの廃棄について

(1)鼻水、唾液等が付いたゴミ(飲用後の紙コップ、ビン、缶、ペットボトル等)はビニール袋に入れて密閉して縛ることとしている。

(2)ゴミを回収する人は、マスク、手袋、保護メガネを着用することとし、作業後は必ず石けんと流水で手洗いをすることとしている。

4.配慮が必要な労働者への対応等

(1)風邪症状等が出た場合は、「出勤しない・させない」の徹底を全員に求めている。

(2)社内での健康相談窓口の周知とともに、「新型コロナウイルス感染症についての相談の目安」や最寄りの「帰国者・接触者相談センター」を全員に周知している。

(3)高齢者や基礎疾患(糖尿病、心不全、慢性呼吸器疾患、高血圧、がんなど)を有する者等の重症化リスク因子を持つ労働者及び妊娠している労働者に対しては、本人の申出及び産業医等の意見を踏まえ、感染予防のための就業上の配慮(テレワークや時差出勤等)を行っている。

(4)特に妊娠中の女性労働者が、医師又は助産師からの指導内容について「母健連絡カード」等で申し出た場合、産業医等の意見も勘案の上、作業の制限または出勤の制限(在宅勤務又は休業をいう)の措置を行っている。

(5)テレワークを行う場合は、業務とプライベートの切り分けに留意し、上司や同僚とのコミニュケーション方法を検討し、在宅勤務の特性も理解したうえで、運動不足や睡眠リズムの乱れやメンタルヘルスの問題が顕在化しやすいことを念頭において就業させている。

5.新型コロナウイルスの陽性者や濃厚接触者(以下「陽性者等」)が出た場合等の対応

1)陽性者等に対する不利益取扱い、差別禁止の明確化

(1)新型コロナウイルスの陽性者等であると判明しても、解雇その他の不利益な取扱いを受けないこと及び差別的な取扱いを禁止することを全員に周知し、徹底を求めている。

2)陽性者等が出た場合の対応

(1)新型コロナウイルスに陽性であると判明した場合は、速やかに事業場に電話、メール等により連絡することを全員に周知し、徹底を求めている。

(2)新型コロナウイルスに陽性であると判明した第三者との濃厚接触があり、保健所から自宅待機等の措置を要請された場合は、速やかに事業場に電話、メール等により連絡することを全員に周知し、徹底を求めている。

(3)新型コロナウイルスに陽性であるとの報告を受け付ける事業場内の部署(担当者)を決め、全員に周知している。
また、こうした情報を取り扱う部署(担当者)の取り扱い範囲とプライバシー保護のルールを決め、全員に周知している。

(4)新型コロナウイルスに陽性である者と濃厚接触した者が職場内にいた場合にどのような対応をするかルール化し、全員に周知している。

(5)職場の消毒等が必要になった場合の対応について事前に検討を行っている。

3)その他の対応

(1)濃厚接触者への対応等、必要な相談を受け付けてくれる「保健所」、「帰国者・接触者相談センター」等を確認してある。

(2)事業場内の診療・保健施設で体調不良者を受け入れる場合は、事業場内での感染拡大の原因となる可能性があることに留意し、医療従事者は標準予防策を遵守し、適切な感染予防体制(受診者のマスク着用、待合や動線を分ける、受診者が一定の距離を保てるよう配慮する等)を実行している。

熱中症のリスクがある場合に確認してください

6.熱中症の予防

(1)身体からの発熱を極力抑えるため、作業の身体負荷を減らすとともに、休憩を多くとることの重要性を周知している。

(2)のどの渇きを感じなくても、労働者に水分・塩分を摂取するよう周知し、徹底を求めている。

(3)屋外で人と十分な距離(少なくとも2m以上)が確保できる場合で、大声を出す必要がない時には、マスクを外すよう周知している。

(4)事務室等における換気機能のない冷房使用時には、新型コロナウイルス対策のための換気により室内温度が高くなりがちであるため、エアコンの温度設定を下げる等の調整をしている。

臼井繁幸 産業保健相談員(労働衛生コンサルタント)

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